慶大理工数学'13[5]

zを複素数とする。自然数nに対しての実部と虚部をそれぞれとして、2つの数列を考える。つまり、を満たしている。ここで、iは虚数単位である。
(1) 複素数zが、実数θ を用いての形で与えられたとき、任意の自然数nに対してが成り立つことを数学的帰納法を用いて証明しなさい。
(2) 複素数zが、正の実数rと実数θ を用いての形で与えられたとする。このとき、数列がともに0に収束するための必要十分条件を、rθ の範囲で表すと、となる。解答欄(2)に、は数列がともに0に収束するための十分条件であること、および必要条件であることの証明を書きなさい。
(3) のとき、無限級数はともに収束し、それぞれの和はである。


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解答 高校範囲で扱う等比数列無限等比級数は実数の範囲で考えますが、公比や初項が複素数になる場合でも同様の公式が成立します。
なお、
複素数ド・モアブルの定理条件・命題を参照してください。

(1) のとき、より、より、成り立ちます。
のとき、が成り立つと仮定します。

より、
よって、のときにも成り立ちます。
よって、
数学的帰納法より、任意の自然数nに対して、が成り立ちます。

(2) のとき、

問題文の要求は「のとき、」で、このとき、となるはずです。ですが、
θ がいかなる実数であっても、任意の自然数nに対して、となるので、であれば、とはなり得ません。のときには、なので、となります。
よって、数列がともに
0に収束する(条件P)ための必要十分条件は、 (条件Q)です。
() ......[]
(十分条件であること:Q P) のとき、より、
(必要条件であること:P Q) 命題「かつならば」の対偶「ならばまたは」を示します。
のとき、なので、仮にとすると、となりますが、より、,よって、対偶が成り立つので、元の命題、つまり、必要条件であるという命題も成立します。

(3) より、とおくと、
ところで、(1)より、なので、 (kmは自然数,)を用いると、 (Mは自然数)として、
ここで、
ここで、とすると、より、無限等比級数は収束して、
 ・・・@
つまり、より、
一般の自然数Nについても、N6で割った商をMとして、より、
 ・・・A
@と同様に、より、
Aにおいて、はさみうちの原理より、
()  () ......[]
注.上記では、複素数について不等式を作ることができず、はさみうちの原理が使えないので、実部と虚部に分けて、はさみうちにしていることに注意してください。


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