東大理系数学'22年前期[2]
数列
を次のように定める。
(1) 正の整数nが3の倍数のとき、
は5の倍数となることを示せ。 (2) k,nを正の整数とする。
が
の倍数となるための必要十分条件をk,nを用いて表せ。 (3)
と
の最大公約数を求めよ。
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解答数列の最初の方を調べようとして、
,
,
,
,とやって行くと、
,
,と、凄まじいことになってしまいます。(3)で、
となると、桁数でさえ天文学的数値です。(3)は、221と51の最大公約数を求めよ、と言われたときに、221÷51=4あまり17となるところから51と17の最大公約数を考えるのと同じようにします。
(1)
は5の倍数です。 mを自然数とします。
が5の倍数だとして、
(l:整数)とおくと、
とおくと、
よって、
も5の倍数です。
よって数学的帰納法により、全ての自然数mについて、つまり,正の整数nが3の倍数であるとき、
は5の倍数です。
別解.mod記号(剰余類を参照)を用いて答案を書くと以下のように簡潔に書くことができます。 mを自然数として、
(mod. 5)を示す。
のとき、
より成り立つ。
のとき、
(mod. 5)を仮定すると、
(mod. 5)
(mod. 5)
(mod. 5)よって、
(mod. 5)となり、
のときも成り立つ。数学的帰納法により、mを自然数として、
(mod. 5)が成り立つ。
即ち、正の整数nが3の倍数のとき、
は5の倍数となる。
(2) kを自然数として、
,
,
(l:整数)とおくと、
(j:整数)とおくと、
とやって行くと、
,
,
,
,・・・なので、
(
),
,・・・を整数として、 となっていることがわかります。
そこで、kを自然数、
を整数として、
を示します。
のときは、
より、
として、
を整数として、
と仮定すると、 と書けます。よって、jを自然数として、
・・・A と書けることが示されました。
@の
は自然数kにも依存するので、
を改めて
と書き直すと、@を
と書き直して、Aは、
・・・B
となります。
が
の倍数であるためには、Bより
が
の倍数であることが必要です。
より、数列
は単調増加な数列で、
のとき
(このとき、
はkの倍数でなく、
は
の倍数になりません),
のとき
,
のとき
より、
が
の倍数となる最小の自然数jはkです。
のとき、
は、Bより、
となり、
の倍数です。ここで
は整数で、
となります(
より
とします。
です)。
同様にBより、
・・・C が
の倍数であるためには、
が
の倍数であることが必要で、こうなる最小の自然数jは
です。
のとき、
は、Cより、 は、
の倍数です。ここで
は整数で、
となります。
これを繰り返すと、iを自然数とし、
(
は整数、
)とおけると仮定すると、Bより、
・・・Dが
の倍数であるためには、
が
の倍数であることが必要で、こうなる最小の自然数jは
であり、
の場合には
はkの倍数でなく、
は
の倍数ではありません。
のとき、
は、Dより、
(
は整数です)は、
の倍数です。
よって、数学的帰納法により、全ての自然数iについて、
は
の倍数、つまり、
が
の倍数となるためには、iを自然数として、
となることが必要で、nがkの倍数でないときは
は
の倍数ではありません。逆に、
のとき、
は
の倍数です。
以上より、k,nを正の整数として、
が
の倍数となる必要十分条件は、「nがkの倍数であること」 ......[答] 別解.(2)も上記のはじめの方の考察でBが見えてくるので、Bを、
を
で割ると
余ると見て、mod記号(剰余類を参照)を使って、
(mod.
) (*)を示すという方針も立ちます。
より、
のとき、
(mod.
)
(mod.
)を仮定して、
より、
(mod.
)となるので、(*)が成り立ちます。(*)より、
が
で割り切れるのは、
(mod.
)より
のときで、このとき、
(mod.
),同様に、
,・・・,これより、nがkの倍数のとき、
(mod.
)が言えます。また、上記と同様に、
(mod. k)以外の場合には
(mod.
)とはならないことを言う必要があります。
(3)
は3の倍数です。また、
です。(2)より、
が
の倍数となる必要十分条件はnが3の倍数であることです。また、
は5の倍数ですが25の倍数ではありません。そこで、jを3の倍数として、
を調べることになります。 (2)Bにおいて、kを3の倍数、
として、
・・・E
これより、
は5の倍数ですが25の倍数ではなく、
が5の倍数だが25の倍数ではないと仮定すると、
は25の倍数ですが、
も5の倍数だが25の倍数にはなりません。
従って、すべての3の倍数nについて、
は5の倍数だが25の倍数ではありません。・・・(**)
jを3の倍数として、再びBを用いて、 Eで
として、
とおくと、
つまり、
を
で割ると25余るのですが、これは、
と
の最大公約数が、
と25の最大公約数に一致することを意味します(Euclidの互除法を参照)。(**)より、jが3の倍数のとき、
は5の倍数だが25の倍数ではないので、
と25の最大公約数は5,即ち、
と
の最大公約数も5です。
として、
と
の最大公約数は、5 ......[答]
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