慶大理工物理'11[1]

以下の文章中の()()に適切な式を記入しなさい。ただし、()には適切な不等号(≦または≧)も記入しなさい。

12のように、半径Rの半円筒面を有する質量Mの台が水平でなめらかな床に静かに置かれている。質量mの小球は床の上を進み、そのあと台の円筒面を上る。円筒の最上点をA,円筒の中心をOとする。円筒面はなめらかで、床と円筒面はなめらかに接続しており、小球と台は紙面に垂直な方向には運動しないものとする。
1のように台は床に固定された鉛直な壁に接して置かれており、台と壁が接している面はともになめらかである。小球は円筒面から離れることなく点Aまで上り、この間、台の全底面と床は接したままだった。点Bでの小球の速さをvとすると、円運動する小球が受ける向心力の大きさはである。この向心力は、小球が受ける重力のBO方向の分力と、小球が円筒面から受ける抗力との合力である。したがって、重力加速度の大きさをgとすると抗力の大きさNは、である。このとき、台が小球から受ける力を考えると、その鉛直方向の分力の大きさFは、Nθ を使って、と表される。小球の初速度は図1のように右向きでその大きさはであった。小球の力学的エネルギーが保存されることを用いてからvを消去すると、が得られる。()で最小値をとり、また、小球が円筒面から離れることなく点Aに達したことから、であったことがわかる。
()()の解答にあたっては、小球の初速度がで、小球が円筒面を上る間、台の全底面は床に接したままであったとする。この小球が点Bを通過するときのFは、により、vを使わずに、と表すことができる。()で最大値をとる。また、台の全底面が床と接したままであったことから、台が受ける力の鉛直方向成分を考えると、小球の質量mが不等式を満たしていたことがわかる。
次に図
2のように壁を取り除いた場合を考えよう。速度は右向きを正とする。最初、台は静止していた。初速度がの小球は、台の円筒面を点Cまで上り、そこから円筒面を下った。なお (ただし)とする。小球が点Cに達したとき、床に対する台の速度はVだった。小球と台を合わせた全運動量が保存されることを用いるとが得られる。そのあと小球は円筒面を下り、台から離れた。このときの床に対する台の速度はである。


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解答 頻出タイプの不等速円運動の問題ですが、後半は、円筒面が動いてしまう状況を、力学的エネルギー保存、運動量保存から考える内容になっています。

() 半径Rの円筒面を速さvで動く質量mの小球が受ける向心力は、 ......[]

() この向心力は、小球が受ける重力BO方向の分力と、小球が円筒面から受ける垂直抗力Nとの合力に等しく、
 ・・・@
......[]

() 台が小球から受けるの鉛直方向の分力の大きさFは、 ・・・A
......[]

() 重力位置エネルギーの基準を床面にとると、小球が床の上にあるときの力学的エネルギーは、運動エネルギーだけです。点Bでの力学的エネルギーは、運動エネルギー位置エネルギーです。力学的エネルギー保存より、

@に代入して、
 ・・・B
......[]

() ()Nのとき(Aに来たとき)、最小値をとります。
小球が円筒面から離れることなく点Aに達するのであれば、小球が受ける垂直抗力Nは、つねにです。よって、
......[]

() Bでとすると、
Bを通過するときのFは、Aより、

......[]

() ()の結果より、
 (2次関数の最大最小を参照)
これは、より、で最大値をもちます。
......[]

() このとき、台が床面から受ける垂直抗力として、台が受けるの鉛直方向のつりあいから、
台が床面と接したままであったことから、
......[]

() 小球+台の系の最初の運動量は、小球の運動量だけです。
小球が点Cに達したとき、小球の速度の水平成分と、台の速度Vで、小球+台の運動量です。
小球+台には、水平方向には
外力が働かず、この方向では運動量保存則が成立します。これより、
......[]

() 小球が台から離れた後の台の速度とします。力学的エネルギーが保存されることから、小球と台の運動を反発係数1の衝突と見なすと、反発係数の式より、
 ∴  ・・・C
水平方向の運動量保存より、
Cより、
......[]


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