京大物理'08年前期[2]

次の文を読んで、  には適した式または数値を、  には適切なグラフを、{  }からは適切なものを選びその番号を、それぞれの解答欄に記入せよ。なお、  はすでに  で与えられたものと同じ式を表す。また、問1,問2では指示にしたがって、解答をそれぞれの解答欄に記入せよ。

図
2のように、幅w,長さの長方形の2枚の極板A,Bが間隔dで向かい合わせに配置された平行板コンデンサーを考える。不導体(絶縁体)で作られた水平でなめらかな台の上に極板A,Bは固定されており、その間にあらかじめ帯電していない幅wの直方体の金属板が極板A,Bと接触しないように挿入されている。これらはすべて不導体の気体中にあり、その気体の誘電率をεとする。極板は図1のように起電力Vの電池と接続されている。
図
2は図1を台の上方から見たものである。金属板は厚さc,長さLであり、極板に平行に極板Aから距離b離れ、コンデンサーの左端から長さXだけ挿入されている。ここで図2の右側に示すようにx軸,y軸を定義し、図2の右向きをxの正方向、上向きをyの正方向とする。以下では、極板と金属板の端における電場(電界)の乱れは無視でき、電場は全てyの正方向のみを向いているとする。
このコンデンサーは、図
2に「部分�T」として極板間に金属板が存在しない部分と、「部分�U」として示した極板間に金属板が存在する部分の2つの並列コンデンサーとみなすことができる。このコンデンサーに蓄えられたエネルギーは イ である。

このコンデンサーの部分�Tについて
yの正方向の電位の変化をグラフに表すと、図3のようになる。図3では、極板Aからの距離を横軸yにとり、極板Bの電位を0とした。この図を参考に、部分�Uについてyの正方向の電位の変化をグラフに表すと ロ のようになる。(グラフにはでの電位を式で記入せよ。)

このコンデンサーの部分�Tに蓄えられたエネルギーを部分�Tの極板間の電場の強さEを用いて表すと、 ハ ×となる。は部分�Tの極板間の空間の体積であるから、その空間には単位体積あたり ハ のエネルギーが蓄えられていると考えることができる。このように考えた場合、部分�Uの極板間の金属板内に蓄られる単位体積あたりのエネルギーは ニ となる。
ところで、図
2の金属板には静電気力がはたらくことがわかっている。このことをつぎのように調べてみよう。ここで、電池の内部抵抗、電池とコンデンサーの間の配線の電気抵抗、金属板内部の電気抵抗、金属板と台の間の摩擦はいずれも無視できるものとする。
まず、金属板にはたらく静電気力の
x軸に平行な成分について考えよう。静電気力のx軸に平行な成分につりあう外力を金属板に加え、極板Aからの距離bを保ったまま、極板間に存在する金属板の長さをXからまで微小変化させたとしよう。このときのコンデンサーに蓄えられたエネルギーの変化量は ホ である。また、この間に電池がした仕事は ホ × ヘ である。コンデンサーに蓄えられたエネルギーの変化量から電池のした仕事を引いたものが、外力が金属板にした仕事に等しい。このことから、金属板にはたらく静電気力のx軸に平行な成分の大きさを求めると ホ ÷ ト となる。また、その方向は{ チ:�@ xの正方向 �A xの負方向 }である。

問1 金属板にはたらく静電気力のy軸に平行な成分の大きさはいくらか。その理由とともに記述せよ。

,,,,のとき、,の金属板をとして極板間に挿入した。このときに金属板にはたらく静電気力のx軸に平行な成分の大きさを有効数字2けたで求めると、 リ  Nとなる。

問2 図2の金属板の代わりに、外形はまったく同じでその内部が空洞になっている金属箱を極板間に挿入することにする。また、その空洞内には誘電率εの不導体の気体が入っているとする。この金属箱にはたらく静電気力のx軸およびy軸に平行な成分は、図2の金属板を用いたときに比べ、それぞれどう変化するか。その理由とともに記述せよ。


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解答 少々計算が面倒ですが、コンデンサーの問題としては標準的なタイプの問題です。

(イ) 部分�Tの横の長さは,部分�Tの面積は,部分�Tの静電容量はです。
部分�Uは金属板が挿入されていますが、金属板はA側とB側にできている2個のコンデンサーを接続しているだけであって、静電容量への寄与はありません。部分�Uの面積はです。金属板とAとの間にできているコンデンサーの静電容量は,金属板とBとの距離はで、この部分にできているコンデンサーの静電容量は,との直列接続の合成容量は、

∴
,並列接続の合成容量Cは、
Cに蓄えられたエネルギーUは、
......[答]
(ロ) ,両端の電圧を,として、,に蓄えられる電気量は等しく、,より、

∴
このが、での電位(における電位)になります。金属板とA (),金属板とB ()の間の部分については、一様な電界(電場)ができるため、電位は距離に対して直線的に変化します(電位・電圧を参照)。
問題文のグラフ
(図3)で、位置yにおける電位をvとして、とを結ぶ直線の式は、
ここで、とすると、



より、
よって、部分�Uにおける
y方向の電位の変化をグラフに表すと、右図のようなグラフになります。
(ハ) 部分�Tの電界(電場)の強さは,静電エネルギーは、
......[答]
問題文中にあるように、誘電率εの物質が充満している空間内に一様な電界Eがあるときの単位体積当たりのエネルギー(エネルギー密度)は、になります。
(二) 電流が流れていない金属板の中に電界(電場)は生じません。従って、金属板内に蓄えられる単位体積あたりのエネルギーは、0 ......[答] です。
(ホ) (イ)の結果において、X→とすると、そのときの静電エネルギーは、
(イ)の結果を引くことにより、この間にコンデンサーに蓄えられたエネルギーの変化量は、
......[答]
(ヘ) (イ)の状況下でコンデンサーが蓄えている電気量は,のときのコンデンサーの静電容量をとして、コンデンサーが蓄えている電気量は,
X→の間にコンデンサーに供給された電気量は
(ホ)の結果はと書けるので、この間に電池が供給した仕事は、
2 ......[答]
(ト) 電池が供給した仕事は、コンデンサーの静電エネルギーの増加分と金属板に対して電池がした仕事になります。ということは、電池が金属板に対してした仕事はです(コンデンサーの過渡現象を参照)。
極板Aには正電荷、金属板のAと対向する側には負電荷が蓄えられ、極板Bには負電荷、金属板のBと対向する側には正電荷が蓄えられるので、極板A,Bと金属板の間には引力となる静電気力(x軸正方向を向く)が働きます。
電池が金属板にした
仕事は、極板A,Bと金属板との間に働く静電気力がする仕事です。静電気力がする仕事は、静電気力に逆らう外力がした仕事にマイナスをつけたものになります。外力の大きさをFとして、極板A,Bと金属板との間には引力が働いているので、これに逆らう外力の向きがx軸負方向であることを考慮し、外力がした仕事はです。従って、

∴  ・・・(*)
......[答]
(チ) 上記より、静電気力の向きはx軸正方向で、�@ ......[答]

問1 (イ)の結果によると、コンデンサーの静電エネルギーはXの関数であってyには依存せず、金属板がy方向に微小距離移動しても静電エネルギーは変化しません。よって、静電気力のy軸に平行な成分の大きさについて、
......[答] (位置エネルギーを参照)

(リ) (*)式より、静電気力のx軸に平行な成分の大きさは、
[N]
......[答]

問2 (*)式は、金属板の内部形状には依存せず、表面が金属でありさえすれば成立します。従って、金属箱に働く静電気力のx軸およびy軸に平行な成分は、変化しません。
変化しない。(イ)の結果は、金属板でも金属箱でも変わらないから。 ......[答]


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