東工大物理'13年前期[1]
[A] 図1のように水平でなめらかな平面があり、その上の直線上を同じ質量mの2つの物体AとBが、伸び縮みしない質量の無視できる長さのひもで結ばれたまま、摩擦を受けずに運動している。以下では、図の右方向を速度の正の向きにとる。 時刻において、図1のように物体Aは物体Bの右方向に距離だけ離れた位置にあり、ひもはたるんだまま、物体AとBはそれぞれ速度, ()で運動している。物体間の距離がになるとひもがたるみなく張り、物体AとBには撃力が働く。その直後、物体AとBは近づき始め、やがて衝突する。ひもが張ったときの衝撃によってエネルギーが失われることはなく、ひもが張る前後で物体Aと物体Bの力学的エネルギーの和、および運動量の和が保存している。なお、ひもがたるんでいるときには、ひもは物体AとBの運動を妨げることはないとする。また、物体AとBの衝突は完全弾性衝突であるとする。空気抵抗は無視できるものとして、以下の問いに答えよ。 (a) 初めてひもが張った直後の物体A,Bの速度をそれぞれ,とする。ひもが張る前後のエネルギー保存の式、および運動量保存の式を記せ。また、,を求めよ。 (b) から初めてひもが張るまでの時間を求めよ。また、から2回目にひもが張るまでの物体Bの速度を、時間の関数として解答欄(b)に実線で書き込め。ただし、初めてひもが張る時刻と速度,を表す位置は解答欄に示されている。
[B] 図2のように水平面となす角がθ ()の斜面があり、その上の直線上を同じ質量mの2つの物体AとBが伸び縮みしない質量の無視できる長さのひもで結ばれたまま運動している。ただし、2つの物体は紙面内を運動し、斜面から離れることはない。物体Aの下面はなめらかで斜面との間に摩擦はないが、物体Bの下面は粗く、物体Bと斜面との間の動摩擦係数はである。物体Bに働く動摩擦力は重力の斜面下向き成分に比べて小さく、物体は斜面上で静止することはない。以下では、斜面下方を速度の正の向きにとる。 時刻において物体Aは物体Bより距離だけ下方にあり、物体AとBの速度は等しく、 ()であった。重力加速度の大きさをgとし、空気抵抗は無視できるものとして、以下の間に答えよ。 (c) から初めてひもが張るまでの時間を求めよ。 (d) 初めてひもが張った直後の、物体Bから見た物体Aの相対速度を求めよ。ただし、ひもが張ったときの衝撃によってエネルギーが失われることはなく、ひもが張る前後で物体Aと物体Bの力学的エネルギーの和、および運動量の和が保存している。なお、ひもが張る瞬間において、物体に働く重力と摩擦力の影響は無視する。 (e) 問(d)でひもが張った時刻から、物体A,Bが近づき、初めて距離がになるまでの時間を求めよ。また、距離がになったときの物体Bから見た物体Aの相対速度を求めよ。
【広告】ここから広告です。ご覧の皆さまのご支援ご理解を賜りたく、よろしくお願いいたします。
【広告】広告はここまでです。
解答 [B]の後半では、斜面を下るに従って、だんだんAもBも速くなるのですが、運動の対称性を生かせばうまく解答することもできます。
[A](a) ひもが張る直前、運動エネルギーは,,A,Bの運動量は,です。ひもが張った直後、運動エネルギーは,,A,Bの運動量は,,です。 ......[答] ・・・@ ......[答] ・・・A @より、, ・・・B
Aより、, ・・・C
B,Cより、 ・・・D
C+Dより、 ......[答],C−Dより、 ......[答]注.同じ質量の物体Aが、ひもが張る前後で、エネルギー保存と運動量保存が成立すると、本問のように、速度を交換することに注意してください。
(b) 初めてひもが張るまで、Bから見たAの相対速度はです。Bから見るとAは、この速度で時間の間に進むように見えるので、 ∴ ......[答]初めてひもが張ると、BがAを追いかけるようになり、初めてひもが張ってから2度目にひもが張るまでの時間をとすると、この間にBはAに対して、相対速度で距離進むことになるので、(a)の結果を用いて、 ∴ 初めてひもが張るまでのにおいて、Bの速度は,ここから2度目にひもがはるまでのにおいて、Bの速度はです。グラフは右図。
[B](c) 斜面を下る方向のAの運動方程式は、Aの加速度をとして、Aは重力のこの方向の成分を受けるので、 ∴ 斜面を下る方向のBの運動方程式は、Bの加速度をとして、Bは重力のこの方向の成分と上向きの動摩擦力を受けるので、 ∴ Bから見たAの相対加速度は、BからAを見ると、はじめの距離にいたAが、初速度0,加速度で動き始め、ひもが張るときにはの距離にいるように見えます。等加速度運動の公式より、 ∴ ......[答]
(d) ひもが張る直前のA,Bの速度,は、等加速度運動の公式より、 , Bから見たAの相対速度は、
・・・D [A](a)と同様に、ひもが張ったときにAとBは速度を交換するので、初めてひもが張った直後の物体Bから見た物体Aの相対速度は、Dと符号が反転し、 ......[答]
(e) Bから見たAの加速度はひもが張った後も、です。Bから見てAとの相対距離が縮まるまでの時間をとして、等加速度運動の公式より、 ......[答] この後、時間経過すると、相対距離は、だけ増して、となり、再びひもが張ります。ここで再びA,Bの速度が交換して運動が続きます。
注.(d)でも述べたように、ひもが張るときにAとBは速度を交換し、同じ加速度で逆向きの運動を始めます。重力を受けて鉛直上方投射された物体が、上昇から下降に移るのと同様に、本問でも同じ相対距離動く時間は変わらず、になるのは当然です。また、相対距離がになったときの相対速度がのときと同じ値となるのも当然です。
【広告】ここから広告です。ご覧の皆さまのご支援ご理解を賜りたく、よろしくお願いいたします。
【広告】広告はここまでです。
東工大物理TOP 物理TOP TOPページに戻る
【広告】ここから広告です。ご覧の皆さまのご支援ご理解を賜りたく、よろしくお願いいたします。
【広告】広告はここまでです。
各問題の著作権は
出題大学に属します。©2005-2024(有)りるらる 苦学楽学塾 随時入会受付中!理系大学受験ネット塾苦学楽学塾(ご案内はこちら)ご入会は、
まず、こちらまでメールを
お送りください。