東京大学 2008 年前期物理入試問題 【広告】ここから広告です。ご覧の皆さまのご支援ご理解を賜りたく、よろしくお願いいたします。 
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[1]  質量 m の箱が摩擦のない滑らかな水平面上に静止していたとする。この箱を、時刻 0 から移動させ始めてちょうど時刻 T に距離 L だけ離れた地点を通過させることを考えよう。 A , B , C の 3 人がそれぞれ別々の力の加え方をして箱を移動させた。Aの箱は最初から最後まで一定の加速度で運動した。 B の箱は距離 C はばねを用いて移動させた。図 1 のように、ばねが自然長の状態で箱がゴール地点にあるようにセットし、そこからばねを長さ L だけ縮めて初速 0 で離した。 A , B , C 全ての場合において、箱は時刻 0 で静止した状態から動き始め、一直線上を同じ向きに進み、時刻 T にスタート地点から同じ距離 L だけ離れた地点を通過した。 T  C が用いたばねのばね定数 k を m , T を用いて表せ。 
U A, B , C それぞれの場合について、箱の速さ t  (の関数としてグラフにし、各々の場合の時刻 T における速さ T , L を用いて表せ。 V  A , B , C それぞれの場合について、時刻 T までに箱にした仕事を m , T , L を用いて表し、どの場合最も仕事が少なかったか答えよ。またそれぞれの場合について、箱にした仕事とUで求めた速さ W 箱を静止した状態から動かし始め、最小の仕事でちょうど時刻 T に距離 L だけ離れたところを通過させるための力の加え方を求めたい。ただし、箱に加えることのできる最大の力を A , B , C の加えたどの力よりも大きいとする。また運動の向きと逆向きの力を加えることはないとする。箱にする仕事が最小の場合について、箱に加えた力 T までに箱にした仕事を答えよ。 [ 解答へ ] [2]  図 2 − 1 のように、電圧を自由に変えられる直流電源とコンデンサー A およびコンデンサー B を直列につなぎ、コンデンサー A と並列にネオンランプをつなぐ。このネオンランプは図 2 − 2 に示す電圧−電流特性を持ち、端子間にかかる電圧が A , B の電気容量をそれぞれ T すべてのコンデンサーを放電させた後、電源電圧 V を 0 から少しずつ上げていくと、ある電圧 (1)  このときの電源電圧 (2)  点灯直前にコンデンサー A , B に蓄えられていた静電エネルギーをそれぞれ A , B に蓄えられている静電エネルギーをそれぞれ (3)  電源は、電源内で負極から正極へ電荷を運ぶことにより、ネオンランプおよびコンデンサーにエネルギーを供給している。また、ネオンランプが点灯してから消灯するまでの間に電源が運んだ電荷の量は、この間にコンデンサー B に新たに蓄えられた電荷の量と等しい。ネオンランプが点灯してから消灯するまでの間に電源が供給したエネルギー (4)  点灯してから消灯するまでの間にネオンランプから光や熱として失われたエネルギー U ネオンランプの消灯後、さらに電源電圧 V を (1)  問Tにおいて、点灯してから消灯するまでの間にネオンランプを通過した電荷の量を Q とする。電源電圧 V が A にかかる電圧 Q , V を用いて表せ。ただし、この間、ネオンランプに電流が流れることはないため、図 2 − 1 の回路は図 2 − 3 の回路と等価である。また、電荷がコンデンサーを通り抜けることはないため、コンデンサー A , B に蓄えられている電荷をそれぞれ A の下側の極板とコンデンサー B の上側の極板をつないだ部分に蓄えられた正味の電荷の量 V によらず一定であり、 Q と等しいことを用いてよい。 [ 解答へ ] [3]  図 3 − 1 のように、十分な高さ L をもった、断面積 S の円筒容器に n モルの気体を入れて密閉し、気体の絶対温度を一定の値 T に保つ。このとき、一様な重力の作用下では、気体の密度は容器の底に近いほど大きく、密度に勾配のある状態になる。容器の底から測った高さを z ,単位体積当たりの気体のモル数を c とすれば、 c は z の関数とみなすことができ、関係式 ( * ) がよい近似でなりたつ。ここで、 α は高さ z によらない比例係数である。 1 モルあたりの質量を m ,気体定数を R ,重力加速度の大きさを g とする。 T 容器内の気体を理想気体とみなして、以下の問に答えよ。 
(1)  高さ z における気体の圧力を T および R を用いて表せ。 (2)  図 3 − 2 のように、高さ z の位置にある、厚さ S の気柱に注目する。ここで、高さ z , (3)  上の (1) , (2) の結果から、関係式 ( * ) の係数 α を m , g , T および R を用いて表せ。 
(4)  気体の温度が一様に 13 ℃の場合に、単位体積あたりの気体のモル数 c が 0.10 %減少するような高さの差 1 モルあたりの質量は (5)  容器の底と上端での単位体積あたりの気体のモル数の差 m , g , T , R , n および S を用いて表せ。 U 図 3 − 3 のように、軽くて変形しない小さな物体を容器内の気体の中に入れておいたところ、やがて高さ v ,質量を M として、以下の問に答えよ。 (1)  高さ M , v および m を用いて表せ。 (2)  物体が高さ  ( にあるとき、物体にはたらく力 F の大きさを M , g , α ,および ( * ) がなりたつものとしてよい。 [ 解答へ ] 各問検討 [1] ( 解答は こちら )  この問題は、教科書が理解できていれば解答可能です。特別な知識や考え方などを知っている必要はありません。最近の物理の教科書は、色刷りで図表などをふんだんに盛り込み、説明文も理解しやすく工夫されていてよくできています ( 学習指導要領の混乱に伴うカリキュラム上のおかしな点はありますが ) 。特に、高校 1 , 2 年生は、教科書をしっかり読み込んでおくべきです。基礎事項がマスターできていないのに、力学的エネルギー保存の特殊な考え方 ( 東大 ‘94 年前期 [1] など ) をする問題に取り組んでも意味はないのです。この問題の出題者の意図はそういうところにあると思います。 v と位置 x の関係:  ( または、ばね振り子の公式: ) , [2] ( 解答は こちら )  ネオンランプの電流−電圧特性の図が出てきたりするので、非直線抵抗のような難問か、と、感じるかも知れません。ですが、やってみると、問題文中のヒントに従って計算してゆけば何とかなります。ヒントなしだと厳しい問題でしょう。ただ、物理の問題としては計算が面倒でボリュームもあるので、どんどん計算を進めて行かないと時間が足りなくなります。 '08 年前期 [1] と同様に、特殊な技巧や物理的な考察をする必要はありません。コンデンサーの基本公式: '07 年前期 [3] が難問過ぎたことの反省があるのかも知れません。 [3] ( 解答は こちら )  この問題が、ことしの 3 題の中では最も頭を使う問題です。とは言っても、T (1) 〜 (4) は基本問題です。Uも物体の運動が単振動であることを示すときによく出てくる形なので、穏当な問題だと思います。基礎がしっかりしている受験生には何でもなかったでしょう。 (5) です。 [ 別解 ] に市販本などに出ている方法、階差数列風の考え方による解答も書いておきましたが、これを物理の試験中に思いつけるでしょうか?思いつける受験生は立派だと私は思いますが、この問題の正答率がどれくらいなのか、東大に聞いてみたいところです。 が出てくれば、  ・・・D が難なく得られます ( これは変数分離型の 微分方程式 です ) 。右辺に として積分し、   (C  :積分定数 ) ∴   , ) などとすると思いますが、これでは、 となってしまって、 n モルである、という条件に気づきました。階差数列の和のような考え方が思いつけたとして、この条件に気づけるでしょうか?問題文にヒントが欲しい気がします。容器内の気体の量が n モルという条件は、 と、表されます。これで、Dの形のまま、 S をかけて z で積分すればよいだろう、ということになります。 z 方向に N 個に分けて、 とすれば同じことですが、 '08 前期 [2] に親切な誘導がついているのと比べると、この問題は、ちょっと無理な気がします。多分、ほとんどの受験生はここをパスしてUに進んでしまっていると思うので、実質的な被害を受けた受験生はほとんどいなかったと思いますけれども。白状すると、私は、階差数列のような考え方を全く思いつきもしませんでした。 【広告】ここから広告です。ご覧の皆さまのご支援ご理解を賜りたく、よろしくお願いいたします。 
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