共通テスト数学IIB '24年第3問 

以下の問題を解答するにあたっては、必要に応じて問題末の正規分布表を用いてもよい。また、ここでの晴れの定義については、気象庁の天気概況の「快晴」または「晴れ」とする。

(1) 太郎さんは、自分が住んでいる地域において、日曜日に晴れとなる確率を考えている。
晴れの場合は1晴れ以外の場合は0の値をとる確率変数をXと定義する。また、である確率をpとすると、その確率分布は表1のようになる。

   表 1
 X  0  1 
確率   p 1


この確率変数Xの平均(期待値)mとすると
となる。
太郎さんは、ある期間における連続した
n週の日曜日の天気を、表1の確率分布をもつ母集団から無作為に抽出した大きさnの標本とみなし、それらのXを確率変数,・・・,で表すことにした。そして、その標本平均を利用して、母平均mを推定しようと考えた。実際にとして晴れの日数を調べたところ、表2のようになった。

  表 
2
 天 気  日 数 
 晴れ 75
晴れ以外225
 計 300

母標準偏差をσとすると、は十分に大きいので、標本平均は近似的に正規分布に従う。
一般に、母標準偏差
σがわからないとき、標本の大きさnが大きければ、σの代わりに標本の標準偏差Sを用いてもよいことが知られている。S
で計算できる。ここで、,・・・,であることに着目し、右辺を整理すると、と表されることがわかる。
よって、表
2より、大きさの標本から求められる母平均mに対する信頼度95%の信頼区間はとなる。

の解答群

 p         

の解答群
 σ            

の解答群(同じものを繰り返し選んでもよい)
          

については、最も適当なものを、次ののうちから一つ選べ。
    
    
    

(2) ある期間において、「ちょうど3週続けて日曜日の天気が晴れになること」がどのくらいの頻度で起こり得るのかを考察しよう。以下では、以下では、連続するk週の日曜日の天気について、(1)の太郎さんが考えた確率変数のうち、,・・・,を用いて調べる。ただし、k3以上300以下の自然数とする。
,・・・,の値を順に並べたときの01からなる列において、「ちょうど三つ続けて1が現れる部分」をAとし、Aの個数を確率変数で表す。例えば、とし、,・・・,の値を順に並べたとき


であったとする。この例では、下線部分はAを示しており、1が四つ以上続く部分はAとは見なさないので、となる。
のとき、のとり得る値と、それに対応したの値を書き出すと、表
3のようになる。

  表 
3
00000
10000
01000
00100
00010
11000
10100
10010
01100
01010
00110
11101
11010
10110
01111
11110


ここで、の期待値を求めてみよう。(1)におけるpの値をとする。のとき、の期待値は
となる。のとき、の期待値は
となる。
4以上のkについて、kの関係を詳しく調べると、座標平面上の点,・・・,は一つの直線上にあることがわかる。この事実によって
となる。

正規分布表
次の表は、標準正規分布の分布曲線における右図灰色
部分の面積をまとめたものである。

0.000.010.020.030.040.050.060.070.080.09
0.00.00000.00400.00800.01200.01600.01990.02390.02790.03190.0359
0.10.03980.04380.04780.05170.05570.05960.06360.06750.07140.0753
0.20.07930.08320.08710.09100.09480.09870.10260.10640.11030.1141
0.30.11790.12170.12550.12930.13310.13680.14060.14430.14800.1517
0.40.15540.15910.16280.16640.17000.17360.17720.18080.18440.1879
0.50.19150.19500.19850.20190.20540.20880.21230.21570.21900.2224
0.60.22570.22910.23240.23570.23890.24220.24540.24860.25170.2549
0.70.25800.26110.26420.26730.27040.27340.27640.27940.28230.2852
0.80.28810.29100.29390.29670.29950.30230.30510.30780.31060.3133
0.90.31590.31860.32120.32380.32640.32890.33150.33400.33650.3389
1.00.34130.34380.34610.34850.35080.35310.35540.35770.35990.3621
1.10.36430.36650.36860.37080.37290.37490.37700.37900.38100.3830
1.20.38490.38690.38880.39070.39250.39440.39620.39800.39970.4015
1.30.40320.40490.40660.40820.40990.41150.41310.41470.41620.4177
1.40.41920.42070.42220.42360.42510.42650.42790.42920.43060.4319
1.50.43320.43450.43570.43700.43820.43940.44060.44180.44290.4441
1.60.44520.44630.44740.44840.44950.45050.45150.45250.45350.4545
1.70.45540.45640.45730.45820.45910.45990.46080.46160.46250.4633
1.80.46410.46490.46560.46640.46710.46780.46860.46930.46990.4706
1.90.47130.47190.47260.47320.47380.47440.47500.47560.47610.4767
2.00.47720.47780.47830.47880.47930.47980.48030.48080.48120.4817
2.10.48210.48260.48300.48340.48380.48420.48460.48500.48540.4857
2.20.48610.48640.48680.48710.48750.48780.48810.48840.48870.4890
2.30.48930.48960.48980.49010.49040.49060.49090.49110.49130.4916
2.40.49180.49200.49220.49250.49270.49290.49310.49320.49340.4936
2.50.49380.49400.49410.49430.49450.49460.49480.49490.49510.4952
2.60.49530.49550.49560.49570.49590.49600.49610.49620.49630.4964
2.70.49650.49660.49670.49680.49690.49700.49710.49720.49730.4974
2.80.49740.49750.49760.49770.49770.49780.49790.49790.49800.4981
2.90.49810.49820.49820.49830.49840.49840.49850.49850.49860.4986
3.00.49870.49870.49870.49880.49880.49890.49890.49890.49900.4990



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解答 統計の問題としては易しめです。最後の部分は戸惑うかも知れません。

(1) 確率変数X平均(期待値)は、 ア 0 ......[]
標本の大きさnが充分大きいとき、標本平均は、近似的に正規分布に従います(母集団と標本を参照)。 イ 3 ......[]
標本の標準偏差Sは、
 ウ 1 ......[]
,・・・,より、
 ・・・@ エ 2 ......[]
2より、
@より、
信頼度
95%ということは、平均以上になる確率がということで、正規分布表から、値が0.475となるところを探すと、です。これより、母平均mが、
の範囲にある確率が95%になります。
これより、母平均mに対する信頼度95%の信頼区間は(推定を参照)
即ち、 オ 0 ......[]

(2) のとき、となるのは、となる場合です。どちらの場合も確率は、で、の期待値は、
 カ 3 ......[]
のとき、となるのは、 (X1でも0でもよいという意味です。その確率は1です)
となる確率は、
01110となる確率は、
の期待値は、
 キク 33 ......[]
座標平面上で、2を通る直線の傾きは、
直線の方程式は、
とすると、は、
 ケコ 21 サ 8 ......[]
注.問題文に書かれている、座標平面上の点,・・・,が一つの直線上にある、という状況を考えてみます。
の後ろにをつけてとなりにどう変わるかを考えます。
の末尾の確率変数が
1111となっている場合には0でも1でもに影響はありません。
の末尾の確率変数が
0111となっている場合、のときにはに影響はありません。のときには14つ続くのでAの数が1個減ります。この確率はなので、期待値はだけ減ります。
の末尾の確率変数が
011となっている場合、のときにはに影響はありません。のときには13つ続くのでAの数が1個増えます。この確率はなので、期待値はだけ増えます。
これ以外の場合には、に影響はありません。
よって、であり、数列は初項
,公差
等差数列になります。

これより点 ()は、傾き,点を通る直線上にあります。


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