北大理系数学'08年前期[5]
関数とをの範囲で定義された連続関数とする。
(2) を満たすを求めよ。
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解答 積分方程式と呼ばれるタイプの問題です。
(1) 上端と下端が定数の定積分の値は定数になるはずですが、を定数とおくことはできません。なぜなら、xが変化するとの値は変化してしまい定数ではないからです。被積分関数の中ののが積分の際に邪魔になります。で、tで積分する際にtが変化してもは変化しないので、を定数として積分の外に追い出します。 は定数になるので、これをAとおき、 ・・・@ これより、
・・・A これを@に代入すると、
(2) (1)と同様にして、
・・・B とおくと、
・・・C これをBに代入すると、
ここで、
より、
∴ Cより、 ......[答]
追記.積分方程式にはいろいろなタイプがあります。
定積分の上端も下端も定数の場合には、上記にように、定積分を文字に置き換えると、未知の関数の形が決まり、定積分が実行できるようになります。
上端、下端が変数になっている問題、例えば、
大分大工'07年[4]:
aを正の定数とする。関数はで を満たす。ただし、対数は自然対数とする。
(1) を求めよ。 (2) aの値を求めよ。
この問題では、 (定積分の微分を参照)を使います。
(2)では、定積分を0にするように、上端のxを下端のaに一致させます。
(1) ・・・@
@の両辺をxで微分すると、
(積の微分法を参照)
∴ ......[答]
(2) @において、とすると、
∴
より,
∴ ......[答]
北大の本問では、被積分関数の中のはとすることによって、簡単に積分の外に追い出すことができましたが、簡単には追い出せないタイプの問題があります。例えば、
宮城教育大'06[5]:
次の各問に答えよ。
(1) 置換積分法を用いて、不定積分を求めよ。 (2) 次の等式を満たす関数を求めよ。
(C:積分定数) ......[答] (置換積分を参照) (2) 被積分関数の中ののxが積分の邪魔になります。このxは簡単には積分の外に出て行ってくれません。加法定理を使います。 これでxを積分の外に追い出すことができました。
・・・@, ・・・Aとおくと、 Bを@に代入すると、
ここで、
よって、
, ・・・D BをAに代入すると、
第1項の積分はCより
第2項の積分は、とおくと、,t:のとき、u: よって、
, ・・・E D,Eを連立すると、,
Bより、 ......[答]
さらに、被積分関数に三角関数が入り、上端、下端に変数が入るタイプもあります。
東京理科大理'98[3]:
xの関数,が、関係 を満たすとする。このとき、次の問いに答えよ。
(1) 正弦の加法定理を用い、の第2次導関数をとで表せ。 (2) として、を求めよ。 (3) (2)の場合についてを求めよ。
・・・@ このタイプはxで微分するとともに、定積分の値が0になるように、とします。
(1) まず、加法定理を用いて、被積分関数の中のxを積分の外に追い出します。 ・・・A xが積分の外に出たので、両辺をxで微分します。
・・・B さらにxで微分すると、
中カッコ内はAよりです。よって、 ......[答] (2) xで積分して、
・・・C Bにおいて、とすると、定積分は0となり、
Cでとして、 ∴ ∴
xで積分して、 Aにおいて、とすると、定積分は0となり、
Dでとして、 ∴ ∴ ......[答] (3) (1)の結果を用いて、
......[答]
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