静岡大理系数学'08[2]

a.bを定数とし、2次方程式は実数解αβ ()をもつとする。次の問いに答えよ。
(1) 次の等式を証明せよ。
(2) abを有理数とし、β が自然数nを用いてと表されているとする。
(i) となるためのnが満たす条件を求めよ。
(ii) とする。区間において曲線x軸ではさまれた図形の面積をとする。曲線x軸で囲まれた図形の面積をとする。となるnの値を求めよ。


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解答 有理数となる条件を考えるところがあるほかは単なる計算問題ですが、センター試験でもよく見られるパターンなので採り上げてみます。(2)(i),下記ではが無理数であることの背理法による証明をつけておきます(実数を参照)が、試験会場ではが無理数であることを前提としてOKでしょう。平凡に計算して充分に解答可能ですが、(2)(ii)については、旺文社全国大学入試問題正解に、放物線のグラフの特性を活用した白眉のアイデアが載っています。

(1) 解と係数の関係より、 ・・・@




 (証明終)

(2) が有理数だと仮定して、 (pqは互いに素な整数)とおくと、分母を払って2乗し、
これよりp3の倍数ですが、 (rは整数)とおくと、
これよりq3の倍数となりますが、pqともに3の倍数になると、「pqは互いに素な整数」とした仮定に矛盾します。よって、仮定は誤りでは無理数です。
cdを有理数として、とおきます。
@より、
整理して、
 ・・・A
と仮定すると、は有理数なので、
となり、無理数が有理数に等しいことになって不合理です。従って、とした仮定は誤りで、
このとき、Aより、,従って、
 ・・・B
@より、
Aと同様にして、
つまり、
 ・・・C
(i) C,より、
nは自然数なので、であり、より、
......[]
とBより、 ・・・D
(ii) は右図水色着色部分、は右図黄色着色部分の面積です。
C,Dを用いて、






より、
整理して、
より、 ......[]

追記.(1)については、いろいろな証明法が考えられます。
一般的に、
mnを自然数として、
がどうなるかを考えてみます。
(1) (C:積分定数)による計算
と変形して、n乗を二項定理を用いて展開します。





 (です)
本問は、の場合ですが、

となります。
とすると、

となり、
が得られます。
(2) 部分積分法による計算


これで、定積分に関する漸化式が得られました。
この漸化式を繰り返して用いることにより、

よって、
のときは、
のときは、
となります。
(1)(2)を比較して、
より、
となることが導かれます。


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