山梨大医数学'10年[4]
とする。次の問いに答えよ。
(1) 関数の増減、極値、グラフの凹凸、変曲点、漸近線を調べ、グラフをかけ。 (2) の第n次導関数をとする。このとき、任意の正の奇数nに対して、であることを示せ。 (3) であることを示せ。 (4) 任意の正の実数aに対して、であることを示せ。ただし、必要ならばであることを用いてもよい。
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解答 定積分の値の評価の問題ですが、(2),(4)は、考え込むかも知れません。
(1) とすると、 変曲点は、, ......[答]より、漸近線は ......[答]増減表は、以下の通り。グラフは右図。
より、のときも、 より、です。
,,を見ていると、の形(高次の導関数を参照)になっていて、nが正の奇数の時には奇数次の項のみの整関数、nが正の偶数のときには偶数次の項のみの整関数となることが予測できます。 注.整関数というのは、という多項式の形に表せる関数のことです。 のとき、
のとき、
のとき、
となっています。mを自然数だとして、のとき、,は奇数次の項のみの整関数、と仮定します。 ・・・@ 奇数次の項の微分は偶数次の項となり、偶数次の項の微分は奇数次の項となることに注意します(微分・導関数を参照)。
@において、とすると、仮定により、は奇数次の項のみの整関数です。
中カッコ内をとおくと、は偶数次の項のみの整関数、も偶数次の項のみの整関数なので、中カッコ内は偶数次の項のみの整関数になります。
同様に、@において、とすると、は奇数次の項のみの整関数、も奇数次の項のみの整関数なので、中カッコ内をとおいて、これは奇数次の項のみの整関数です。
よって、帰納的に、,nが奇数の時には奇数次の項のみの整関数、ということが示せました(数学的帰納法を参照)。
よって、nが正の奇数のとき、なので、です。 別解.どうやって思いつくのかわかりませんが、以下のような絶妙な解法があります。
微分して、
さらに微分すると、
これを繰り返すと、
・・・A となることが予測できます。これを数学的帰納法で示し、を代入することによっても、題意を示せます。
(3) (1)の増減表より、において、です。 ∴
(4) (3)より、のときには、 は明らかです。
のとき、曲線は下に凸なので、において、のグラフは、その両端,を結ぶ線分よりも下側に来ます。従って、は、,,,を4頂点とする台形の面積Sよりも小さくなります。 ところが、のとき、となってしまうので、 が言えず、(3)を用いても、とできません。
従って、であって、となるような、別のを探すことになります。
高校の範囲ではの積分計算を行えないのですが、であれば、積分計算を実行できます。
のときだけ考えればよいので、だとすると、として、 つまり、であればです。のときには(3)を利用することにして、両辺をにおいて積分すると、 右辺の積分は、とおくことにより、,x:のときt: (置換積分を参照) 以上より、の場合には、
追記.実は、この問題には背景があります。(2)に出てきたを用いて、と表される多項式をエルミート多項式と言います。このときのを母関数と言います。
などとなります。
Aと、 ・・・B, ・・・C,とから、
∴ ・・・D
C両辺を微分すると、
Bより、
∴ ・・・E
Dと比較して、
・・・F Eで番号を1つずらせて、
・・・G Gを微分して、
Fを用いて、
∴ ・・・H
これが、が従う微分方程式です。
大学で学ぶ物理の中で「量子力学」という分野があります。その中の「調和振動子」の問題で登場する微分方程式です。(2)の別解は、こうしたところから発想したものでしょう。
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