阪大理系数学'21年前期[5]

次の問いに答えよ。
(1) aを実数とする。xについての方程式の実数解のうち、をみたすものがちょうど1個あることを示せ。
(2) 自然数nに対し、かつをみたす実数xとおく。t をみたす実数とする。このとき、曲線C上の点Pにおける接線が、不等式の表す領域に含まれる点においても曲線Cと接するための必要十分条件は、t ,・・・のいずれかと等しいことであることを示せ。


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解答 必要十分条件を示せ、という問題ですが、「自然数nに対し、かつをみたす実数xとおく」はの定義なので、を前提条件として、における曲線Cの接線が曲線Cにおいても接点をもっていて、かつ、曲線Cにおける接線がにおいても曲線Cに接することを示すようにします。

(1) ()とおく。微分すると、より、において単調減少
より、方程式 (a:実数)においてただ1つの解をもち(中間値の定理を参照)、題意が成立します。

(2) C,微分すると、 (n:自然数)における曲線C接線は、
 ・・・@
()における曲線Cの接線は、
 ・・・A
@,Aが一致するためには、
 ・・・B かつ  ・・・C
Bより、 (三角関数の諸公式を参照) ∴ または
のとき、 (k:整数)においては、 (k:自然数)
このとき、,Cより、
より、,これを満たす自然数knはありません。
のとき、 (k:整数)においては、 (k:自然数) ・・・D
このとき、,Cより、

においてはよりで割ると、
 ∴
は、かつをみたす実数なので、 ∴
即ち、における曲線Cの接線は、曲線C ()においても接します。
注.この結果は、曲線Cが、点に関して点対称であることからほぼ明らかで、最初からこの事実を用いて答案を書くこともできます。
逆に、 (n:自然数、なので、)における曲線Cの接線は、


 ・・・E
は、かつを満たすので、より、,つまり、なので、Eは、
となり、曲線Cにおける接線に一致します。つまり、C上の点Pにおける接線が、不等式の表す領域に含まれる点においても曲線Cと接するとき、t ,・・・のいずれかと等しくなります。
以上より、曲線
C上の点Pにおける接線が、不等式の表す領域に含まれる点においても曲線Cと接するための必要十分条件は、t ,・・・のいずれかと等しいこと、です。
注.上記の証明の構造は、次のようになっています。
曲線Cにおける接線は、であれば、曲線C ()においても接する、つまり、
曲線Cにおける接線は曲線Cにおいても接する。
また、における接線が、における曲線
Cの接線と一致するなら,つまり、
曲線
Cにおける接線が ()においても接する



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