慶大理工数学'24[3]

連続関数を満たし、で単調に減少するものとする。aを実数とし、S
と定める。
(1) と定める。Iaを用いてSを表すと、のときとなり、のときとなる。
(2) aを満たしているとき、の範囲で方程式は解をただ1つ持つことを証明しなさい。
(3) aを満たしているとする。の範囲にある方程式の解をとおく。このとき、aを関数と実数t を用いて表すととなる。また、関数と、t に関する分数式を用いて、と表される。
(4) (3)で定めた関数、を満たす実数とする。を満たすすべての実数xに対しが成り立つことを証明しなさい。
(5) を満たす分数関数とし、を満たす実数とする。かつならば、を満たすすべての実数xに対しが成り立つ。
(6) のときに、Sは最小になる。


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解答 問題文に「連続関数」としか書かれていないので証明は一苦労です。()()は、空所補充問題で答はすぐに分かります。証明を考える必要はありません。が出てくるので、連続関数は積分可能、という前提で考えましょう。

Sは、絶対値を外してから積分計算するのですが、のグラフと、原点を通り傾きaの直線との位置関係によって場合分けが必要です。
まず、のグラフが、
2を通り、直線が、2を通る ・・・() ことに注意します。
また、においてが連続かつ
単調減少、またも連続かつ単調 ・・・(**) であることに注意します。

(1) のとき、であって、()(**)より、においてです(絶対値を参照)
 (不定積分定積分を参照)
......[] ・・・@
のとき、()(**)より、においてです。
 ・・・A

(2) のとき、なのでであって、は単調増加です。
 ・・・B
とおくと、において、(**)よりは連続な減少関数です。
よって中間値の定理より、方程式,即ちは、の範囲にただ1つの解をもちます。(証明終)

(3) のとき、の解をt とおく()と、より、 ......[] ・・・C
 ・・・D
とおくと、
 ・・・E
です。
Bのは、において単調減少なのでの前後で符号を正から負へと変えます。よって、においてにおいて
積分区間をに分けることにより、

 ( D)

 ( C,E)
 ・・・F
よって、 ......[]

(4) に分けて考えます。以下で、図形Aが図形Bに含まれる、とは、Aに属するすべての点P ()Bに属する()、即ちであることを意味します。
のとき、は、のグラフのの部分とs軸、直線,直線で囲まれた図形(右上図薄黄色着色部)の面積にマイナスをつけたものです。
は、横の長方形(黒色枠)の面積にマイナスをつけたものです。
において
sの連続な減少関数なので、であり、図形は長方形に含まれます。よって、
のとき、は、のグラフのの部分とs軸、直線,直線で囲まれた図形(右下図薄黄色着色部)の面積で、は、横の長方形(黒色枠)の面積です。
においてsの連続な減少関数なので、であり、長方形は図形に含まれます。よって、
よって、において、です。(証明終)

(5) とおくと、となるようなの値を求めればよいわけです。
となるので、
とおくと、
です。 ・・・G
なので、であるためには、が言えればよいわけです。
より、は単調増加です。
なので、より、


で最小値を持つ

と言えれば、となります。
そのためには、で極小になればよいのですが、は単調増加なので、であれば、においてにおいてとなるので、において極小になります。このためには、
 ∴ ......[] ・・・H
逆にのとき、であって、が単調増加であることから、ではにおいては
で減少、で増加です。
よって、において最小値をとり、においてです。
よって、なのでGのは、です。つまり、が成り立ちます。ここで等号が成り立つのは、のときです。

(6) (1)@,Aより、のときのときです。Eよりは定数です。
のとき(のときを含む)aの減少関数で、のときに、
最小値: ・・・I
をとります。
のとき、aの増加関数で、のときに、
最小値: ・・・J
をとります。
のとき、方程式の解をt ()として、Fより、
 ・・・F
となりますが、特に、のとき、方程式の解はで、
Fでとすると、
より、となり、のときの最小値Jに一致します。
のとき、方程式の解はで、Fでとすると、
となり、のときの最小値Iに一致します。
そこで、の範囲でFの
Sの最小値を考えます(これですべての実数aに対してSの最小値を考えることになります)。このとき、の解t は、です。
(4)より、を満たすxに対して、
Fのにこれを用いて、
この右辺のうち、とおくと、
(5)で、とみて、
(5)より、となるのは、のとき(Hより)で、よりで、このとき確かにとなります。のとき、S最小となりますが、Cにおいてとすることにより、Sを最小とするaは、 ......[]
こうして、
 (等号はのとき成立)



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