東大理系数学'04年前期[6]

片面を白色に、もう片面を黒色に塗った正方形の板が3枚ある。この3枚の板を机の上に横に並べ、次の操作を繰り返し行う。
さいころを振り、出た目が12であれば左端の板を裏返し、34であればまん中の板を裏返し、56であれば右端の板を裏返す。
たとえば、最初、板の表の色の並び方が「白白白」であったとし、1回目の操作で出たさいころの目が1であれば、色の並び方は「黒白白」となる。さらに2回目の操作を行って出たさいころの目が5であれば、色の並び方は「黒白黒」となる。
(1) 「白白白」から始めて、3回の操作の結果、色の並び方が「黒白白」となる確率を求めよ。
(2) 「白白白」から始めて、n回の操作の結果、色の並び方が「白白白」または「白黒白」となる確率を求めよ。
注意:さいころは1から6までの目が等確率で出るものとする。


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解答 (1)で、事象の推移のカラクリを調べるとともに、確率の数列の初項を求め、(2)で、漸化式を作って確率を求めるというオーソドックスな確率漸化式の問題です。漸化式が変則的で、カラクリを見破るのがちょっと難航しますが、よくあるタイプの問題です。

(1) 12が出る事象、34が出る事象、56が出る事象は、どれも確率で起こります。
従って、左端の板、まん中の板、右端の板を入れ替えても確率は変わりません
ある回数さいころを振って、「黒白白」になる確率、「白黒白」になる確率、「白白黒」になる確率は同じです。
また、「黒黒白」になる確率、「黒白黒」になる確率、「白黒黒」になる確率は同じです。

「白白白」から
1回さいころを振ると、「黒白白」か「白黒白」か「白白黒」のいずれかになります。

「黒白白」からさらに
1回さいころを振ると、「白白白」か「黒黒白」か「黒白黒」になります。
この時点で、黒の枚数は
0枚または2枚です。
「白黒白」、「白白黒」からさらに
1回さいころを振っても、黒の枚数は0枚か2枚です。
これより、偶数回さいころを振ると、黒の枚数は
0枚か2枚になりそうです。

1回も振らないときを含めて、さいころを偶数回振ったときに、黒の枚数が0枚、または、2枚だとします。
黒が
0枚のときに、白が黒に変わると、黒の枚数は1枚になります。
黒が
2枚のときに、黒が白に変わると、黒の枚数は1枚に、白が黒に変わると、黒の枚数は3枚になります。
従って、さいころを奇数回振ると、黒の枚数は
1枚、または3枚です。
この後、
1回さいころを振ると、
黒の枚数が
1枚のときに、黒が白に変わると、黒の枚数は0枚に、白が黒に変わると、黒の枚数は2枚になります。
黒の枚数が
3枚のときに、黒が白に変わると、黒の枚数は2枚になります。
従って、さいころを偶数回振ると、黒の枚数は
0枚、または2枚です。

3回さいころを振って、「黒黒黒」になるのは、121回、341回、561回出る場合です。
(12)(34)(56)の並べ方が、通りあるので、
この確率は、です。
・・・@

3回さいころを振って、「黒黒黒」になる事象の余事象は、「黒白白」か「白黒白」か「白白黒」になる事象です(和事象・積事象・余事象を参照)
この
3つの事象はどれも等確率で起こるので、3回さいころを振って、「黒白白」となる確率は、
......[]

(2) (1)で書いたように、さいころを奇数回振ると、黒の枚数は1枚、または3になります。
さいころを偶数回振ると、黒の枚数は0枚、または2になります。

そこで、kを自然数として、さいころを(奇数回)振ったときに、「黒黒黒」(黒が3)となる確率を
さいころを
(偶数回)振ったときに、「白白白」(黒が0)となる確率をとします。
@より、
3回さいころを振って、「黒黒黒」となる確率は、です。

さいころを
(偶数回)振ったときに、「白白白」(黒が0)となるのは、さいころを回振って、「黒白白」,「白黒白」,「白白黒」のときに、それぞれ、(12)(34)(56)が出る場合(確率で起こる)です。「黒白白」または「白黒白」または「白白黒」となる(黒が1)事象は、「黒黒黒」となる事象の余事象なので、確率は、です。
よって、さいころを回振って、「白白白」となる確率は、
・・・A です。

さいころを回振ったときに、「黒黒黒」となるのは、さいころを回振って、「白黒黒」、「黒白黒」、「黒黒白」のときに、それぞれ、
(12)(34)(56)が出る場合(確率で起こる)です。「白黒黒」または「黒白黒」または「黒黒白」となる(黒が2)事象は、「白白白」となる事象の余事象なので、確率は、です。
よって、Aより、さいころを回振って「黒黒黒」となる確率は、
・・・B (2項間漸化式を参照)
とおくと、 ・・・C

B−Cより、
よって、は、初項:,公比:の等比数列であって、
・・・D
のとき、
これをDに代入すると、
(奇数回)さいころを振って、「黒黒黒」となる確率は、
「白黒白」となる確率は、「黒黒黒」となる事象の余事象の確率のだから、
奇数回の操作で、「白白白」となることはありません。

A,Dより、
・・・E
のとき、
これをEに代入すると、
(偶数回)さいころを振って、「白白白」となる確率は、
偶数回の操作で、「白黒白」となることはありません。

以上より、
kを自然数として、「白白白」または「白黒白」となる確率は、
のとき、 ......[]
のとき、 ......[]


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