東大理系数学'23年前期[5]
整式を考える。
(1) を実数を係数とする整式とし、をで割った余りをとおく。をで割った余りとをで割った余りが等しいことを示せ。 (2) a,bを実数とし、とおく。をで割った余りをとおき、をで割った余りをとおく。がに等しくなるようなa,bの組をすべて求めよ。
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解答 問題文を読んでびっくりさせられますが、これは東大数学の1つの特徴で、困難な状況におかれても冷静に論理的に問題解決に当たれるか、という資質を見ようとしているのです。怖じ気づくようでは東大合格は望めません。
(1) より、 ・・・@ (因数定理を参照) が3次式なので、は2次式です。Bを微分すると、 Bでとして、@より、 ・・・D Bでとして、@より、 ・・・E Cでとして、@,Aより、 ・・・F ・・・G はと同様2次式で、Bより、 ・・・H これとG,Hより、
中括弧内をとおくと、 ・・・I 両辺を微分すると、
・・・J ,は2次式で、A,B,C,a,b,cを実数とし、,とおくと、,
Iでとすると、@よりなので、 ∴ ・・・K Iでとすると、@よりなので、 ∴ ・・・L Jでとすると、Aより,また@を用いて、 ∴ ・・・M MをLに代入して、,これとKより、,さらにMより、,よって、 ∴ よって、をで割った余りとをで割った余りが等しいことが示されました。 注.上記では、余りの2次式を,と具体的において考えましたが、具体的におかなくても、 との差をとり、 これはで割り切れるので、
(2) より、,,, (k,m,dは実数) ・・・N とおきます。 を3次式で割った商を,余りの2次式をと (A,B,Cは実数)すると、 ・・・O 両辺を微分すると、
・・・Q
・・・R ・・・S ・・・(21) (21)でとすると、 ・・・(22) (21)でとすると、 ・・・(23) (21)両辺を微分すると、
とすると、,Nより、 ・・・(24) Qを(22)に代入すると、
∴ kは実数なので、 ・のとき、N,Qより,で、(22)は満たされ、さらに(24)より、 よって、,,Nより、
Rより、,(23)は満たされ、Sより、で、(24)の左辺は0,(24)の右辺は0で、(24)も満たされます。よって、,は適。 ・・・(25) ・のとき、N,Q,Sより,,で、さらに(24)より、 ∴ よって、,,
Rより、ですが、(23)の左辺は,右辺は2となり、(23)が成立せず、不適です。 ・のとき、N,Q,Sより,,で、さらに(24)より、 ∴ よって、,,
Rより、で、(23)が成立します。(22)は、左辺も右辺もで成立します。なので(24)も成立します。よって、,は適。 ・・・(26) (25),(26)より、 ......[答]
注.上記は、整式を3次式で割ると、余りは2次式であって、より、,,になる、ということを用いて解答していますが、十分性が心配な方のために確かめをしておきます。 をで割った余りをとおくと、
で、
で、
で、
これより、,,つまり、をで割った余りはでです。従って、余りのの7乗をで割った余りはです。 をで割った余りをとおくと、
で、
で、
で、
これより、,,,つまり、をで割った余りはでです。従って、余りのの7乗をで割った余りはです。 いずれの場合も、そもそもなのでになっているわけです。
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