阪大物理'13[2]

直流電源にコイルとコンデンサーとスイッチが接続された図1のような電気回路を考える。コイルの自己インダクタンスをL,単位長さ当たりの巻き数をnとし、コイルに流れる電流はaの矢印の向きを正とする。直流電源の電圧はV,コンデンサーの静電容量はCであり、電源には抵抗値rの内部抵抗がある。
T,Uの最初の状態ではともに、スイッチは全て開いており、電気回路には電流は流れておらず、コンデンサーに電荷はなかった。以下の空欄に入れるべき適切な式を、解答欄に記入せよ。ただし、
(7)(13)では、{  }から正しいものを1つ選択し、(16)(17)では正しいものを全て選択し、解答欄に記入せよ。

T.最初の状態からスイッチを閉じると、コイルに電流が流れる。十分短い時間の間に電流がだけ変化した。この時、コイルに生ずる誘導起電力の大きさは、Lを用いるとと表せる。
その後、十分時間が経過すると、電流の大きさは一定になった。この時、コイルに流れる電流の大きさはであり、コイルで生じる磁場の強さは、nVrを用いるとである。

U.最初の状態からスイッチを閉じると、コンデンサーに電荷が蓄えられはじめる。十分時間が経過した後に、コンデンサーに蓄えられる電荷量はであり、静電エネルギーはである。
次に、を開いてを閉じると、コンデンサーが放電をし始め、コイルに電流が図1aの矢印の向きに流れ始める。を閉じた直後の短い時間における電流の変化率である。コンデンサーの電荷がゼロになる時、コイルにはの矢印の向きに電流が流れており、コンデンサーは、を閉じる前と正負が逆に充電され始める。しばらくすると再び放電が始まる。このように充電と放電が繰り返される結果、コンデンサーとコイルの間には振動電流が流れつづける。この振動電流の角周波数をωとする。このωを用いると、コンデンサーのリアクタンスはであり、コイルのリアクタンスはである。コンデンサーおよびコイルにかかる電圧の最大値はVなので、振動電流の最大値は、VCωを用いるとであり、VLωを用いるとと表せる。コイルとコンデンサーに流れる振動電流の最大値は等しいので、ωと求められる。を閉じた時点からのコイルに流れる電流Iの時間変化は、図2である。コンデンサーとコイルに蓄えられるエネルギーの和は一定なので、コイルで発生する磁場の強さの最大値は、nVCLを用いるとである。
次に強い磁場を発生させることを考えよう。コイルの長さと断面積をそれぞれ
Aとする。コイルの半径に比べては十分に大きいので、コイル内部には一様な磁場ができている。真空の透磁率をとし、nAを用いると、コイルの自己インダクタンスLは、である。一方、コンデンサーは平行平板コンデンサーであり、その極板の間隔と面積はそれぞれdWである。また、真空の誘電率をとする。磁場の強さを大きくするには、の値を小さくし、の値を大きくすればよい。


【広告】ここから広告です。ご覧の皆さまのご支援ご理解を賜りたく、よろしくお願いいたします。
【広告】広告はここまでです。

解答 コイルとコンデンサーの回路の基本問題です。

T(1) コイルに生じる誘導起電力の大きさは、 ......[]
(2) 充分時間が経過して電流が一定になるとコイルに生じる誘導起電力はゼロで、オームの法則より、コイルに流れる電流の大きさは、 ......[]
(3) コイルで生じる磁場の強さは、 ......[]

U(4) コンデンサーに蓄えられる電気量は、 ......[]
(5) コンデンサーに蓄えられる静電エネルギーは、 ......[] (コンデンサーの過渡現象を参照)
(6) を閉じた直後、コンデンサーの上側極板から正電荷が流れ始め、となります。このとき、,コイル両端の電圧はコンデンサーの電圧に等しくVなので、
 ∴ ......[]
(7) コンデンサーの電荷がゼロになってもコイルは電流をそのまま流し続けようとするので、このときのコイルの電流の向きは(a) ......[]
(8) 振動電流角周波数ω のとき、コンデンサーのリアクタンスは、
......[] (振動回路を参照)
(9) コイルのリアクタンスは、 ......[]
(10) コンデンサーの電流の最大値をとして、
......[]
(11) コイルの電流の最大値は、
......[]
(12) (10)(11)電流を等しいとおくと、
......[]
(13) を閉じた時点()で、コイルは電流を流そうとしないのでです。時間経過に従って正方向に電流が流れ始め、コンデンサーの電荷がゼロになった時点でとなり、それ以降コンデンサーの上側極板に負電荷、下側極板に正電荷が蓄えられるのに従って電流が減少します。こういう変化をしているグラフは、(d) ......[]
(14) より、コイルに発生する磁場の強さの最大値は、
......[]
(15) コイルに電流Iが流れているとき、コイル内部に発生する磁場の強さは、
コイル内部の磁束密度は、
コイルを貫く
磁束は、
コイルの総巻き数はで、
電磁誘導の法則より、コイルに発生する誘導起電力は、
より、コイルの自己インダクタンスは、 ......[] (自己誘導を参照)
(16) (15)より、磁場の強さの最大値は、
これより、を大きくするためにはdA ......[] を小さくし、
(17) W ......[] を大きくすればよいことになります。


【広告】ここから広告です。ご覧の皆さまのご支援ご理解を賜りたく、よろしくお願いいたします。
【広告】広告はここまでです。

  物理TOP  TOPページに戻る

【広告】ここから広告です。ご覧の皆さまのご支援ご理解を賜りたく、よろしくお願いいたします。
【広告】広告はここまでです。

各問題の著作権は
出題大学に属します。

©2005-2024
(有)りるらる
苦学楽学塾 随時入会受付中!
理系大学受験ネット塾苦学楽学塾
(ご案内はこちら)ご入会は、
まず、こちらまでメール
お送りください。