慶大理工物理'09年[1]
以下の文章中の に適切な数または式を記入しなさい。
人工衛星が地表すれすれを等速円運動するとき、その速さvは第一宇宙速度と呼ばれる。地球を質量M,半径Rの静止した球とし、万有引力定数をGとすると、万有引力が円運動の向心力となることから、第一宇宙速度は ア と表される。ただし空気抵抗はないものとする。一方、地上から打ち上げた人工衛星が無限の遠方にまで飛び去ってしまう最小の初速度は、第二宇宙速度と呼ばれる。これは、力学的エネルギー保存則により第一宇宙速度vの イ 倍であることがわかる。
図のように、宇宙船が地球の重力の作用だけで地球に戻ることを考える。質量mの宇宙船の速さは、地球から遠く離れた点Pにおいて、第一宇宙速度のa倍の速さである。点Pでは地球からの万有引力を無視できるとすると、宇宙船の力学的エネルギーは ウ である。点Pでの宇宙船の軌道を延長した直線と中心Oとの距離を半径Rのb倍とする。ただし、である。このときの面積速度は、点Oと点P,および点Pから単位時間直進した後の宇宙船の位置Qの三点を結んでできる△OPQ(斜線)の面積である。したがって、面積速度は エ と求められる。
その後、宇宙船が地球に近づくと、万有引力のためにその軌道は地球の中心Oに向かって曲げられる。地球に最も近づいた位置を点Tとして、距離TOをX,点Tにおける宇宙船の速さをVとする、点Tでの面積速度は オ である。一方、点Tでは地球からの万有引力も考慮して、宇宙船の力学的エネルギーは カ となる。
以下では、宇宙船が地球をかすめるように通過する場合を考える。このとき最接近距離は地球の半径であるから、である。ケプラーの第二法則により、面積速度は一定、すなわち(エ)=(オ)であることを用いると、再接近点での速さは キ である。さらに、力学的エネルギー保存則も成り立つので、(ウ)=(カ)である。
これと(ア)の結果を用いると、変数としてaだけを含む式で、bは ク と表される。
しかし、この速さは第二宇宙速度より大きいため、宇宙船は地球をかすめた後、無限の遠方に飛び去ってしまう。そこで再接近点で宇宙船の一部分Bを進行方向前方に打ち出して、残りの部分Aに地表すれすれの等速円運動をさせた。このとき、AとBの質量が等しいとすると、Aから見たBを打ち出す速さは、とvを用いて ケ と表される。
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解答 ケプラーの第二法則(面積速度保存)を用いる基本問題です。
人工衛星の質量をmとします。
......[答] 人工衛星が無限の遠方に到達するためには、
∴ ∴
......[答] (ウ) 万有引力を無視できるとき、速さの宇宙船の運動エネルギーは、 ......[答] (エ) 点Pにおける宇宙船の面積速度は、△OPQの面積(底辺,高さ)として、 ......[答] (オ) 点Tにおける宇宙船の面積速度は、直角をはさむ2辺がX,Vの直角三角形の面積として、
......[答] (カ) 点Tにおける宇宙船の運動エネルギーは,位置エネルギーは,力学的エネルギーは両者の和として、 ......[答] (キ) (エ)=(オ),より、 ∴ ......[答] (ク) (ウ)=(カ),,より、 (ア)の結果より、
......[答] (ケ) Aの速度は第一宇宙速度vにすればよく、Bの速度をとすると、運動量保存より、 ∴
Aから見たBを打ち出す速さは(相対速度を参照)、 ......[答]
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