電気・直流回路演習問題(その3)

北見工大物理'09[2]


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[T] 以下の問題文を読んでの中に適当な語句または式を入れなさい。また、{  }の中からは適当なものを選び、その記号を記入しなさい。
5のように断面積,長さの導体の両端に電圧を加えると、導体には大きさの一様な電界が生じる。導体を移動する電荷の自由電子は、電界から方向に大きさの力を受けて加速される。しかし、自由電子は熱振動する陽イオンとの衝突により方向の力を受け減速され、平均するとある一定の速さの方向に移動する。陽イオンとの衝突による抵抗力の大きさはvに比例すると仮定し、その比例定数をkとする。自由電子は一定の速さvで移動するのだから、電界からの力の大きさは抵抗力の大きさと等しい。これを式で書くととなり、この式からvが求まる。導体の自由電子密度をとすると、導体断面を単位時間(1)あたりに通過する電子数は個となる。したがって、電流Iは、で与えられる。この式に先に求めた電子速度vを代入して、導体の抵抗RLSneおよびkで表すと、と書ける。この結果、導体材料と温度が決まるとnkは一定なので、Rに比例しに反比例することがわかる。比例定数をρとするとと呼ばれ、knおよびeを用いてとなる。
[U] 以下の問題文を読んでの中に適当な式または数値を入れなさい。ただし、はグラフを書きなさい。なお、電源の内部抵抗と銅線の抵抗は無視でき、抵抗およびRは温度に依存せず一定値とする。
6に示すようにの抵抗を直列につなぎこれに電圧を加えたとき、に加わる電圧をそれぞれとすると、となる。また、各抵抗に流れる電流をとすると、およびで与えられる。次に図7に示すように白黒電球との抵抗を直列につなぐ。白熱電球の電圧と電流の関係は、フィラメントで発生するジュール熱の影響で図8に示す特性をもつと仮定する。図7の回路で、電源の電圧をとすると、の関係が成り立つ。とし、の関係をグラフに示すととなる。この線と白熱電球の曲線の交点の電圧値はであった。したがって回路に流れる電流は、の関係から、となる。
9に示すように、の抵抗を並列につなぎこれに電圧を加えたとき、これらの抵抗に流れる電流の和をとするととなる。図10に示すように白熱電球との抵抗を並列につないだ回路に合計の電流が流れているとき、電源の電圧を,白熱電球に流れる電流をとすると、の関係が成り立つ。およびとし、白熱電球にかかる電圧の関係をグラフに示すととなる。この線と白熱電球の曲線の交点の電流値はであった。したがっては、の関係からとなる。
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阪大物理'10年前期[2]

電気力線について考察しよう。真空中に置かれた電気量 ()の正の点電荷から発生する電気力線の総本数NQに比例する。そこで、比例係数Aを用いてで与えられるとしよう。また、点電荷から発生する電気力線は、全ての方向に等しく放射状に広がる。このとき、電場(電界)の強さは、電気力線に垂直な面を考え、それを通過する電気力線の単位面積当たりの本数nに比例する。そこで、比例係数Bを用いてで与えられるとしよう。電場ベクトルの向きは電気力線の向きに等しい。一方、負の電気量の点電荷に対する電気力線は向きが逆になる。これらのことを踏まえて以下の問いに答えよ。なお、解答には係数ABを用いてよいが、問題中で与えられていない記号を用いてはならない。

T.図1のように、原点Oに電気量 ()の点電荷を置いた。
1 点電荷から距離の点における電場ベクトルについて、動径方向(半径rの球面に垂直でrが増す方向)の成分を示せ。
2 図2(a)または(b)のように、のところに電気量のもう一つの点電荷を置いた。このとき、二つの点電荷を通る直線上の点Pでの電場ベクトルについて、動径方向の成分を示せ。ただし、点電荷から点Pまでの距離をaとし、図2(a)の場合と図2(b)の場合について、それぞれ答えよ。

U.厚さが無視できる平板上に電荷を分布させた面電荷について考察しよう。図3のように、平板はz軸に垂直でにあり、x軸方向とy軸方向にそれぞれ十分に広い幅をもつ。この平板上に単位面積当たりの電気量がとなるように電荷を一様に分布させた。なお、以下の問いでは面電荷のふちの効果は考えなくてよい。
3 図3に示した面電荷によるでの電場ベクトルについて、z軸方向の成分を示せ。
4 図3で与えたの面電荷に加えて、図4のように、だけ離れたのところに同様の面電荷を与えた。ただし、単位面積当たりの電気量をとした。このとき、3つの領域における電場ベクトルについて、z軸方向の成分をそれぞれ示せ。

V.図4において ()とし、また、二つの平板は導体でできた極板とすると、二つの面電荷はコンデンサーの二つの極板に蓄えられた電荷と等しくなる。
5 二つの極板を互いに接触しない範囲で十分に接近させた状態から、面間隔dの状態まで広げるのに必要なエネルギーを示せ。
6 面間隔dの状態において、二つの極板の間の電位差の大きさを示せ。また、この結果を用いて、コンデンサーとして考えたときの電気容量を示せ。

W.図4において ()とした状態で、導体でできた極板の間に誘電体を挿入した。誘電体の厚さはdx軸方向とy軸方向の幅は極板のサイズと等しく、それぞれLMとする。
7 極板の間を全て満たす位置に誘電体を挿入した。このとき、誘電分極(不導体の静電誘導)によって誘電体の上と下の面に見かけの面電荷が発生した。その結果、問6で求めた誘電体を挿入しない場合に比べて極板の間の電位差は、この面電荷によってf倍になった。ここでfは誘電体の種類によって決まる1より小さな正の定数である。誘電分極によって誘電体の下の面に発生した見かけの面電荷について、単位面積当たりの電気量を示せ。さらに、極板をコンデンサーとして考えたときの電気容量を示せ。
8 問7の状態から誘電体を部分的に引き抜き、図5のように、x軸方向に深さ ()まで挿入した状態とした。誘電体が挿入されている領域と挿入されていない領域における下の極板()の面電荷について、単位面積当たりの電気量をそれぞれ示せ。
9 問8の状態において、二つの極板の間の電位差の大きさと、コンデンサーとして蓄えられている静電エネルギーを示せ。
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東京医科歯科大物理'10[2]

金属導線中の電子の運動について考えてみよう。
右図のような半径
r,長さl の円筒状の導線の両端AB間に電圧Vを加える。ただし、Aの電位よりBの電位の方が高いものとする。また、電子の質量をm,電子の電荷を (),導線の抵抗率をρ,導線の単位体積中の自由電子の数をn,円周率をπとする。
以下の各問いに答えよ。


1 この導線の電気抵抗RrlVmeρnπのうちの必要なものを用いて表せ。
2 この導線中に生じている電場の大きさErlVmeρnπのうち必要なものを用いて表せ。また、電場の向きはABBAのどちらであるか答えよ。

自由電子は電場の存在下では平均するとAB方向に運動しているので、以下では一次元の運動として考える。また、導線中を移動する自由電子には速さに比例する抵抗力が働くものとし、比例定数をkとする。

3 自由電子の運動の向きは、ABBAのどちらであるか答えよ。
4 加速度をa,速さをvとして、自由電子の運動方程式を求めよ。ただし、問3で求めた電子の運動の向きを正とする。
5 vが小さいとき、電子は問3の向きに加速度運動しているが、vがある大きさに達すると等速度運動をするようになる。そのときのvの大きさrlVmenkπのうちの必要なものを用いて表せ。
6 定常電流では、自由電子が導線中を平均してで働いているとして、導線を流れる電流の大きさIrlVmenkπのうちの必要なものを用いて表せ。
7 導線の抵抗率ρrlmenkπのうちの必要なものを用いて表せ。

抵抗力に現れる比例定数kの意味について、自由電子と金属原子(陽イオン)の衝突から考えてみよう。
自由電子の運動について、定常電流ではつぎのように考えてよいだろう。

(1) 自由電子は、熱振動している金属原子と衝突すると、それまでに電場から得たエネルギーを全て失う。しかし、電場から力を受けているので、再び問3の向きに動きだす。
(2) それぞれの自由電子が金属原子と衝突する時刻や、衝突後つぎの金属原子と衝突するまでにかかる時間は、さまざまである。ここでは、長時間での平均を考え、ある自由電子がで速さが0であり、時間T(ごと)に衝突を繰り返すとする。

8 自由電子の平均の速さrlVmenTπのうちの必要なものを用いて表せ。
9 一つの自由電子の運動エネルギーの時間変化の様子をグラフに示せ。
10 kmTを用いて表せ。
11 一般に金属導線の抵抗率は、温度上昇とともにどのように変化するか。その理由を問7,問10の結果も考慮に入れて説明せよ。
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静岡大物理'10[2]

電流と電圧の関係が図1で表されるような電球がある。ここで、電圧と電流の間の関係式は、
() ()
と表され、また、電球の明るさはその消費電力に比例するものとする。この電球と、起電力,内部抵抗の電池を用いて回路を作った。以下の問いに答えよ。ただし、数値は有効数字2桁で答えよ。

1 図2のように、この電球を電池1個につないだとき、電球に流れる電流を求めよ。

2 図3のように、電池2個を並列につないで電源とし、これに電球をつないだ。このとき、電球に流れる電流を求めよ。

3 「電流と電圧の関係が図1で表されるような電球の場合、2個の電球の明るさが同じとき、電球の電圧、電流はそれぞれ等しい」ことを説明せよ。

4 図3の回路について、新たに抵抗をつないで図2の電池1個の場合と同じ明るさになるようにした。
(1) 4のように抵抗をつないだとき、抵抗の大きさを求めよ。
(2) 5のように抵抗をつないだとき、抵抗の大きさを求めよ。

5 この電球2個と電池1個、および抵抗を用いて、図6のような2通りの回路ABを作った。回路Aと回路Bの電球の明るさが同じとき、抵抗の大きさを求めよ。ただし、途中経過を説明しながら記述すること。
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山口大物理'10[2]

1のようにx軸上の点に正の点電荷が置かれている。これらの点電荷が作る電場について、以下の問いに答えよ。ただし、は正の定数とし、真空の誘電率をとする。
1 x軸上に正の点電荷を置いた。この点電荷に働く力の向きは点電荷を置く位置によって異なる。点電荷qx軸の正の向きに力が働く区間と、x軸の負の向きに力が働く区間、また、働く力が0である点をそれぞれ答えよ。
ただし、点電荷Qのあるx軸上の点は除いて答えよ。
2 x軸上の点に置いた点電荷qに働く力の大きさは、それをx軸上の点に置いた場合に働く力の大きさの何倍であるかを答えよ。
3 z軸上の点における電場の大きさとその方向を答えよ。
4 yz平面内の点における電場の方向がy軸となす角度を答えよ。
5 図2のグラフにz軸上の電場のz成分が描かれている。この図を参考にして、点Aと点B間の電位差と、点Bと点C間の電位差はどちらが大きいか。理由を述べて答えよ。
6 原点O,点A,点B,点Cの電位の高さの順をOABCの記号で高い方から答えよ。
7 yz平面上の等電位線の概略図を描け。
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阪大物理'11年後期[2]

電圧を加えると、ある領域から自由に動ける電子は押しのけられるが、正の電荷は移動せずに取り残される物質(半導体)がある。その電場(電界)の様子を理解するため、理想化した場合を考える。初めに、厚さのある十分に広い平板内部に一様に電荷が分布している場合の平板内部の電場や電位を求めよう。

1のように、厚さ[m]で十分に広い平板Aがあり、単位体積あたりの電荷(電荷密度)[] ()となるように電荷が一様に分布している。この平板Aの電荷がその外側に作る電場の方向は平板Aに垂直であり、その右側での電場の向きは右向きで、左側での電場の向きは左向きである。また、クーロンの法則の比例定数をk []として、単位面積あたりの電荷s[]の十分に薄い板の作る電場の強さE[]で与えられる。平板Aの場合にはその単位面積あたりの電荷は[]と見なせるので、平板Aの電荷が作る電場の強さE[]は、
で与えられ、平板Aの右側と左側で同じである。

T.図2のように、厚さ[m]で十分に広い平板Bを平板Aに平行におく。平板Bにも電荷密度がとなるように電荷を一様に分布させた。平板Bを置いても、平板Aの電荷分布は変化しなかった。
1 電場には重ね合わせの原理が適用できることに注意して、領域a(平板Aの左側)、領域b(平板Aと平板Bの間)、領域c(平板Bの右側)の各領域における電場の向きと強さを求めよ。ただし、電場の向きは、図で右向きを正負号、左向きを負符号として表せ。

U.図2で領域bの幅が0であっても、電場の重ね合わせの原理は成り立っている。平板Aと平板Bとを接触させて、厚さ[m]の平板Cを作った。このとき、平板Cの電荷密度は一様でである。図3のようにx軸を取り、平板Cの範囲におく。
2 位置x ()における電場の向きと強さを求めよ。ただし、電場の向きは、図で右向きを正負号、左向きを負符号として表せ。この場合には、平板Cは厚さがx2枚の平板を合わせたものと見なせることに注意せよ。

V.今、平板Cx軸に沿ってN個の小さな区間に分けて、区間ごとの電位差を考えよう。この場合、i番目の区間はからである。また、とする。区間の幅は十分に小さいので、それぞれの区間内の電場の強さは一定で、その区間の両端の電場の強さの平均値に等しいと見なせるものとする。
3 i番目の区間の両端の電位差をdkQのうち必要なものを用いて求めよ。
4 での電位を、での電位を基準として求めよ。

W.図4のように、十分に広い厚さの無視できる薄い平板Pで平板Cに平行に置いた。ここで、平板Pには単位面積あたりσ[]の電荷を一様に分布させた。この結果、平板C内部での電荷分布は変化しなかったが、では電場の強さが0になった。
5 σを求めよ。
6 平板Cの内部 ()の位置に質量m[kg],電荷[C] ()の自由に動ける電子を静かに置くと、電子は電場による力を受けて移動した。電子は電場による力以外は受けないとして、まで移動するのに要した時間をkmqQXのうち必要なものを用いて求めよ。ただし、電子によって、平板Cや平板P内の電荷分布は影響されないとする。
7 電子がに到達した時の速さをkmqQXのうち必要なものを用いて求めよ。
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