阪大理系数学'09年後期[2]
以下の問いに答えよ。
(1)
が無理数であることを証明せよ。 (2) a,bを有理数とする。多項式
が
を満たすとき、a,bを求めよ。 (3) nを2以上の自然数とする。
は有理数を係数とするn次多項式で最高次の係数が1であるとする。
となるとき、
を示せ。
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解答 実数係数のn次方程式:

が、p,qを実数として、虚数解
(
)をもてば、その共役複素数
も解になることが知られています。
同様に、有理数を係数とするn次方程式:

が、p,qを有理数、
を無理数として、
を解に持てば、
も解になることを示そう、という問題です。なお、高次方程式を参照してください。
(1)については整数を、(3)については多項式の除算、因数定理を参照してください。
(1) 背理法で示します。
が有理数だとして、
(p,qは互いに素な自然数)とおけたと仮定します。分母を払って2乗すると、
・・・@
右辺は3の倍数なので、qも3の倍数であり、

とおけます。@に代入し、
∴
右辺は3の倍数なので、pも3の倍数になりますが、p,qがともに3の倍数ということになり、p,qが互いに素とした仮定と矛盾します。
よって、
が有理数であるとした仮定は誤りで、
は無理数です。(証明終)
(2) 
(T)
のとき、
は2次方程式で、(2)より、
となる有理数係数の2次の多項式で最高次の係数が1となるものは、
となりますが、
は、
を解にもつので、
が成り立ちます。 (U)
のとき、有理数係数のk次多項式で最高次の係数が1となる
が
をみたすならば
が成り立つと仮定します。 有理数係数の
次多項式で最高次の係数が1となる
が
をみたすとして、
・・・A
とおきます。両辺各項の係数を比較することにより、
は有理数係数のk次の多項式で最高次の係数が1,有理数cは
の
の係数です。

ですが、
より、

∴
または 
(i)
のとき、Aより、 (ii)
のとき、
は有理数係数で最高次の係数が1のk次の多項式なので、仮定により
です。よってAより、 いずれにしても、
のときも
が成り立ちます。 (T),(U)より、nを2以上の自然数、
を有理数係数で最高次の係数が1のn次の多項式だとして、
のとき、
が成り立ちます。
追記.(3)を直接的な方法で考えてみます。
を計算するためには、
の形の数を考える必要があります。
ですが、これを、jが奇数の項と偶数の項に分けて足すことにより、
という形に書くことができます。つまり、
・・・B jが偶数のとき
は自然数で、
も自然数なので、
,
は自然数です。また、
より、
です。
Bの両辺に、
をかけて、
より、連立漸化式:
,
・・・C が得られます。
,
のでき方からして、
であることが推測できますが、
・・・D
・・・E であることから、
という形の数列を考えてみると、
より、初項:
,公比:
の等比数列なので、
よって、D,Eより、
・・・F
(但し、
,
は有理数)として、Bより、
であれば、(1)より、
Fより、
これで示せました。
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