京大理系数学'21年前期[6]
次の各問に答えよ。
問1 nを2以上の整数とする。
が素数ならばnも素数であることを示せ。 問2 aを1より大きい定数とする。微分可能な関数
が
を満たすとき、曲線
の接線で原点
を通るものが存在することを示せ。
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解答 問2の方は、題意がわかりづらいかも知れません。
問1
のとき、
は素数です。確かに
も素数です。
のとき、
は素数です。確かに
も素数です。
のとき、
は、2以上の自然数の積となり素数ではなく、
も素数ではない、ということになります。ですが、としたときに、右辺の
が素数かどうかを判断するのは容易ではない、ということで、素数かどうかを扱いやすいnの方から考えていきたいのです。そこで、問題文のまま考えていくのではなく、問題文の対偶を示すことになります。本問の対偶は、 「2以上の整数nが素数でなければ、
は素数でない」 ・・・(*) 2以上の整数nが素数でないとき、2個の2以上の自然数k,mの積として、
と書けます。このとき、
なので、
,
より、右辺は2個の2以上の自然数の積の形をしていて、素数ではありません。よって、(*)が示せました。(*)の対偶である、「
が素数ならばnも素数である」が成り立ちます。
問2 まず、aは定数であって変数ではないことに注意します。
と
が出てくるので、曲線
上の2点
,
を通る直線を考えると、その傾きは、
・・・@となり、直線@が原点を通ることがわかります。これが、
の意味です。
の
における接線は、
・・・Aとなりますが、Aの
における状況は、接線の傾き
に関して以下の3通りあります。 (i) 接線Aの傾きが直線@の傾きよりも小さい、つまり、
・・・B (ii) 接線Aの傾きが直線@の傾きと等しい、つまり、
(iii) 接線Aの傾きが直線@の傾きよりも大きい、つまり、
・・・C 上記の(ii)の場合、Aのy切片:
となるので、接線A(直線@に一致)は原点
を通ります。
(i)の場合、少なくとも
の近傍(すぐ近く)の
の部分において、曲線
は直線@の下側に来ます。このあと、曲線
は
を通過するので、直線@と平行な
の接線(右図緑線)であって、直線@の下側に来るものが存在します。平均値の定理を使って書くと、
は微分可能な関数なので、
,
を満たすcが存在します(複数個存在する場合には1に最も近いものを選びます)。
における接線(右図緑線):
は、直線@と平行であってかつ下側にあるので、y切片:
です。
の
における接線:
のy切片を
とおくと、
,Bより、
(iii)の場合も(i)とほぼ同様ですが、少なくとも
の近傍の
の部分において、曲線
は直線@の上側に来ます。平均値の定理より、
,
を満たすcが存在します。cが複数個存在するときには、1に最も近いものを選べば、
における接線(右図緑線):
は、直線@と平行であってかつ上側に来るので、接線のy切片:
です。接線のy切片を
とおくと、
,Cより、
別解.上記は、図形的に考察を進めましたが、上記解答の図でわかる通り、
のとき、曲線
の接線が原点を通過する((i),(iii)の図のピンク色の直線)のは、曲線上の点と原点を結ぶ直線の傾きが極値をとるときなので、曲線上の点
と原点を結ぶ直線の傾きを値とする関数
を使って以下のように考えることもできます(試験後に家に戻ってからなら考えられるかも知れませんが、試験場で思いつけるかどうかは疑問です)。
・・・D,
となるcが存在します。ところで、
・・・E
D,Eより、
なので、
∴ 
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