東大理系数学'18年前期[3]
放物線のうちをみたす部分をCとする。座標平面上の原点Oと点Aを考える。
を実数とする。点PがC上を動き、点Qが線分OA上を動くとき、
をみたす点Rが動く領域の面積をとする。
および,を求めよ。
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解答 2次関数のグラフが動き回るので東大理系2011年[6]を思い出させます。まずは常套的な解法で進めてみますが、試験会場ではあまりの手間で考えものです。本問では、どこかで常套的な解法を断念しないと大ケガになります。実戦的には、減点覚悟で、与式の意味を簡単に説明するに留めて積分計算に移るべきで、それなら大した問題ではありません。
放物線上の点Pの座標を,線分OA上の点Qをとします。,です。
・・・@ @式で、の部分は放物線(2次関数を参照)のの部分を原点を中心に倍に縮小した図形を動きます。ですが、にこれを加えるということは、をx軸正方向にだけ平行移動することを意味します。
そこで、問題の雰囲気をつかむために、の場合、の場合、の場合について、sをの範囲で、0から1までずつ動かして、の放物線がどうなるかを図1に示します。試験会場では、ずつ動かすくらいで充分に領域がどんなものかつかめるはずです。
こうした問題では、x,yのどちらかを固定して、他方がどのような範囲の値をとるか調べるのが常套手段ですが、ここでは、xを固定してyの取りうる値の範囲を考えてみます。
@より、
, ・・・A ,より、,
なのでより、 ・・・B
@,Aより、
・・・C とおきます。 Bのもとに、sの2次関数Cのにおける最大最小(2次関数の最大・最小を参照)を考えることになりますが、ここで、より、
・・・D に注意します。,つまりのとき、Aより、,(複号同順)
このsについて、複号がマイナスのsを,複号がプラスのsをとします。 ・・・E
だけx軸方向に平行移動した放物線の存在範囲を考えると、
・・・F であること、また、Dのに注意してください。
ところで、2次関数Cの軸の位置との範囲との位置関係、Fととの関係を考えて、Bをさらに場合分けして考える必要があります。
まず、ととの大小を調べます、Eでとするとなので、とで分けます。ととの大小を調べると、Eでとするとなので、とで分けます。
のとき,のときです。
のとき,のときです。
以上をBを考慮して整理すると、
(です)のとき, ・・・G (です)のとき、, ・・・H
つまりsの範囲は、Fのの内側にあります。
のとき, ・・・I となります。
また、Cの軸の位置がsの範囲の中央にくるときとして,sの範囲の右端にくるときとして,よって、Cの軸の位置は、
のときより、sの範囲の左側にあります。
のときより、sの範囲内の中央から左側にあります。
のときより、sの範囲内の中央から右側にあります。
のときより、sの範囲の右側にあります。 また、図1を見ると、のときの放物線(の範囲にある)とのときの放物線(の範囲にある)が共有点を持つ場合と持たない場合とで、違いがあることがわかります。共有点をもつとき、,つまり、,つまりです。のときは共有点を持ちません。
さらに、G,Hの場合分けと、軸位置による場合分けを見ると、の正負によっても分ける必要があります。とするとです。
よって、,,で分けて考える必要があります。
・のとき、であることに注意して図2のようにxの範囲を分け、におけるCの最大最小を考えます。のときには、Hより、はFの範囲内にあります。 (i) のとき:D,GよりCの最大値は (Fよりにはなりません),Cの軸はの左側で、,つまり (ii) のとき:Cの軸はより左側にあって,Cは、 (iii) のとき:Cの軸は内の中央から左側で,Cは、 (iv) のとき:Cの軸は内の中央から右側で,Cは、 (v) のとき:Cの軸はよりより右側にあって、Cは、 (vi) のとき:D,IよりCの最大値は (Fよりにはなりません),Cの軸はより右側で、,つまり、
・のとき、Bを考慮し、であることに注意してxの範囲を分け、におけるCの最大最小を考えます。のときと場合分けが異なります。また、のときとなり、以下の(iii)と(iv)の場合分けがなくなることにも注意してください。 (i) のとき:DよりCの最大値は,Cの軸はよりより左側にあって、,つまり (ii) のとき:DよりCの最大値は,Cの軸はの中にあり、,つまり、 (iii) のとき:Cの軸は内の中央から左側で,Cは、 (iv) のとき:Cの軸は内の中央から右側で,Cは、 (v) のとき:DよりCの最大値は,Cの軸はの中にあり、,つまり、 (iv) のとき:DよりCの最大値は,Cの軸はより右側にあって、,つまり
となり、のときの放物線とのときの放物線が共有点を持たない場合、であって、,より、となり、におけるCの最大最小を考えると、の全範囲において、とDより、の最大値はです。
これで領域を求めることができますが、以上のようなことを試験会場でやっていたらとても時間が足りません。本問の場合、面積を聞いているだけで、領域を求めよ、という問題ではなく、図1のような図を描いてみれば、面積を求める領域くらいなら充分把握できます。合格のためには、本問では減点覚悟で、以下に書くように、平行移動の状況を軽く説明する程度に留めて面積計算に移るべきです。
点Rが動いてできる領域は、放物線のの部分を、x軸正方向にkだけ平行移動させるときに通過する領域です。放物線では、のときにであり、という範囲をx軸正方向にkだけ平行移動させると、という範囲に移ります。
また、のとき,のときです。よって、点Rが動いてできる領域を、のとき、のとき、のときの3通りに分けて図示すると図3のようになります。領域はいずれも、に関して対称であることに注意すると、領域の面積は以下のようになります。面積を求める定積分の式は、の場合との場合とで同じです。
・のとき、
・のとき、
以上より、のとき,のとき,, ......[答]
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