早稲田大学基幹・創造・先進理工学部2011年数学入試問題
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[1] xy-平面上の放物線をCとする。以下の問いに答えよ。
(1) C上の点におけるCの法線の方程式を求めよ。 (2) 点を通る法線の数を求めよ。 (3) 点を通るCの法線の数が2となるためのt に対する条件を求めよ。 [解答へ]
[2] xy-平面上の円C:の内側を半径の円DがCに接しながらすべらずに転がる。時刻tにおいてDは点でCに接しているとする。Dの周上の点Pの軌跡について考える。ある時刻において点Pがにあり、Dの中心が第2象限にあるとする。以下の問いに答えよ。
(1) 時刻におけるDの中心の座標を求めよ。 (2) 第1象限において、点PがC上にあるときのPの座標を求めよ。
(3) 点Pの軌跡をxy-平面上に図示せよ。
[解答へ]
[3] とする。以下の問いに答えよ。
(1) のグラフの概形を次の点に注意して描け:の増減、グラフの凹凸、,のときのの挙動。 (2) nを自然数とする。に対してxがを動くときのの最大値を,最小値をとし、 とおく。,を求めよ。 (3) およびを求めよ。 (4) 各nに対してであることを示せ。 [解答へ]
[4] xy-平面上の原点をOとし、楕円 ()をEとする。E上の点PにおけるEの法線とx軸との交点をQとする。点Pが,の範囲を動くとき、が最大になる点Pを求めよ。
[解答へ]
[5] 四面体OABCにおいて,,,である。また、,,とする。以下の問いに答えよ。
(2) △OABを含む平面をHとする。H上の点Pで直線PCとHが直交するものをとる。このとき、となるx,yを求めよ。 (3) 平面Hを直線OA,AB,BOで右図のように7つの領域ア,イ,ウ,エ,オ,カ,キにわける。点Pはどの領域に入るか答えよ。 (4) 辺ABで△ABCと△OABのなす角は鋭角になるか、直角になるか、それとも鈍角になるかを判定せよ。ただし、1辺を共有する2つの三角形のなす角とは、共有する辺に直交する平面での2つの三角形の切り口のなす角のことである。
[解答へ]
各問検討
[1](解答はこちら) 法線が出てきますが、実質的に数学Uの範囲の微分の問題です。点から、3次関数のグラフに3本の接線が引けるとき、点の存在範囲を求めるような問題(帯広畜産大08年[2])では、本問と同様の解法で解くことになります。こうした問題は、数学Vまで履修する理系よりも文系受験生の方が得意にすることが多いのですが、理工系大学でも出題されることがあります。数学V履修者も必ず経験しておくべきタイプの問題です。
本問では、(3)の途中に出てくる3次方程式:で、定数t を分離して、とすれば、数学Vの範囲の問題になります。理系受験生は、こうした方が単純でやり易いかも知れません。ただ、必ずしもうまく定数分離ができるわけではないので、数学Uで解く方法も必須です。
[2](解答はこちら) 解答にも書きましたが、円の内側を転がるもう一つの円の円周上の点の軌跡は、ふつう、ハイポサイクロイドになります。但し、本問ではやや事情が異なります。出題者は、計算が簡単にするために、通常の問題と設定を変えたと思われますが、受験生にとっては、ややありがた迷惑で、おかしいなあ、と試験場でまごついた受験生が多いのではないかと思います。
落ち着いて考えれば、むしろ解き易くなるように配慮されているので、正しい方針を立てたのであれば、自信を持って冷静に解き進めればよいのです。むしろ、今まで解いてきた問題や、常識的なことがら、経験的なことなどに影響されずに、目の前の問題と向き合って解くべきです。xの方程式:がただ1つの解をもつ、と言われたときに、それは重解で、のときだ、と決めつけてはならないのです。,であれば、1次方程式で、方程式はただ1つの解しかもちません。
この世界の事象の中には、受験生が自分がどんなに勉強を積み重ねてきたと自信を持っていても、受験生の経験の範囲では及ばないような特異な事象が多数あります。未知の世界、未知の問題が存在することを素直に受け入れて、予見に邪魔されることなく、目の前の問題に冷静沈着に向き合うようにしましょう。
[3](解答はこちら) 易問というわけではありませんが、よく勉強してきた受験生であれば手が止まるところはない、という問題です。高度な受験技巧は必要ではありません。教科書レベルのことが確実に身についているか、ということが問われています。適度なボリュームもあり、計算練習には絶好の問題と言えます。
本問でやや気になるのは、問題文に特段の注意書きがなく、を前提としてよいのか、ということです。試験会場では、まずは知識として利用した、として答案を書いておき、時間的余裕があれば、証明をつけておく、ということでよいと思います。
解答では、という関数の増減を調べて、において、を導き、両辺をでわって、でとしてはさみうちを使いました。
の増減を調べて、から、においてとして行くこともできます。
他にも、やなどが必要になる場合があります。試験会場で時間が許せば、
は、の増減を調べ、にをかけて、において、でとしてはさみうちを使えば導けます。
は、とおき、において、,,を順次示せば、でとしてはさみうちを使えば導けます。
[4](解答はこちら) 楕円が題材として取り上げられていますが、接線の方程式を使う程度で、楕円としての性質を使うわけではなく、微分を持ち出すまでもない最大最小の問題です。解答では、正接の加法定理と相加平均・相乗平均の関係を用いています。楕円や2直線のなす角を考えるあたりは教科書レベルの基本問題と言えますが、相加平均・相乗平均の使い方には少々注意が必要です。
本問では、2直線のなす角の正接が、楕円上の点の座標のx座標とy座標の積に依存して変化します。2直線のなす角の最大を、最大として考えることになりますが、という形で相加平均・相乗平均の関係を利用することはできません。なぜかと言うと、が一定値にならないからです。が一定値cになるであれば、として、「はのとき最大値をとる」とすることができます。しかし、本問ではは定数になりません。
例えば、「,,のとき、の最小値を求めよ。」という問題を、相加平均・相乗平均の関係を用いて、
(等号はのとき成立) ・・・(*) より、
は、,即ち、,,のとき、最小値: (小さい方のをとるべきでしょうが)をとる。
などとするのは間違いです。なぜなら、(*)の右辺が定数にならないからです。
正しくは、は、のときに最小値:をとります。
とすると、であって、において,においてより、において、は、のとき、最小値をとります。確かに、のときとはなりますが、が最小のとき()と、が最小のとき()とが一致していません。この場合には、相加平均・相乗平均の関係を用いて最小値を求めることはできないのです。
そこで、早大理工'11年[4]では、が一定値となることに着目して、相加平均・相乗平均の関係を使いました。ミスし易いポイントなので、よく注意してください。
[5](解答はこちら) 前半は平凡なベクトルの内積計算を行う基本問題ですが、(4)はまともに計算しようとするのでは大変なので、手が止まるかも知れません。きちんと説明しようとすると難しいですが、(3)の結果を使って頂点Cから△OABを含む平面Hに下ろした垂線の足Pが、直線ABに関して、△OABと反対側にあることを指摘しておけばよいでしょう。
ベクトルの入試問題としては頻出タイプの問題です。こうした問題でこそ、日頃の努力の成果を発揮して、試験会場で成功を確信したいものです。
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