光波


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17世紀後半、ニュートンは、様々な実験を行い、反射、屈折などの現象から光は粒子の流れであり、空気と物質の境界面で物質を構成する粒子がを及ぼして(光の粒子の運動量が変化し)、光が反射、屈折を起こす、と考えました。また、レンズの色収差(望遠鏡の分解能が落ちる)、水泡につく色、虹、太陽光をプリズムに通すと色が分かれる(分散と言います)ことから、光の粒子は色という属性を持っていると主張しました。
これに対して、フックは、光は、この宇宙を埋め尽くしているエーテルと呼ばれる媒質の波動であると主張し、ニュートンと対立しました。その後、ホイヘンスが
ホイヘンスの原理を提唱し、光の反射、屈折、回折といった現象を説明しました。
光の粒子説では、光の回折がうまく説明できず、光の粒子説では、エーテルの実体は何か、ということが解明できていませんでしたが、
18世紀には、ニュートンの威光によってほぼ粒子説が主流でした。
19世紀に入り、1807年、ヤングが二重スリットを用いた光の干渉実験から光の波動説に基づいて光の波長を求め、ニュートンが考えた色という属性は光の波長の違いによるものと結論し、以後、波動説が優勢になりました。

一方で、地動説と天動説の対立から、恒星の年周視差の観測が行われていました。地動説であれば、地球の公転により一年のうちに恒星の位置が変化して見えるはずで年周視差
(半年を経た地球の2つの位置と恒星の位置とで作られる角)が観測されるはずですが、観測の精度以下だったため、ケプラーの法則により確実視されていた地動説には疑問が残っていました。1728年にブラッドレーが年周視差を観測しようとして、光行差を発見しました(光速の測定を参照)。光行差は地球の移動速度によって、地球上の同じ位置で恒星を見上げる角度が変化する現象です。ブラッドレーは光の粒子説に基づいてこの現象を説明しました。年周視差の測定に成功するのは19世紀に入ってからですが、光行差の存在によって地球はエーテルに対してある速度で移動していることが明らかになりました。エーテルは地球の移動とともに動くのではなく、地球が宇宙に固定されているエーテルの中を移動するわけです。

19世紀後半に入り、マクスウェルの電磁気学の理論により、電磁場を伝わる波、つまり電磁波伝播速度光速に一致することがわかり、光は電磁波の一種であると結論されました。すると、光を伝播させるエーテルは電磁場に一致するはずですが、空気中を運動する物体と同様に、エーテル中を地球が移動するのであれば、地球上で「エーテルの風」が検出できるはず、ということで、「エーテルの風」検出実験が行われました。ところが、1887年に行われたマイケルソン・モーレーの実験では、「エーテルの風」は検出できず、光行差の事実と矛盾する結果となり、光は電磁場を伝わる波動、という考え方も暗礁に乗り上げました。この結果については、1892年に、ローレンツとフィッツジェラルドが運動方向に物体が縮む(ローレンツ収縮と言います)という考え方を提出しています。
1905年のアインシュタインの光電効果の説明では、光は波動であるとともに粒子としての性格を持つ、ということになり、光の粒子説再来になりました。同年、アインシュタインは特殊相対性理論を提唱し、宇宙に固定されたエーテルという物理的実体は存在せず、真空中では、電磁波は互いに運動する2人の観測者から見て同一の光速で伝播するので「エーテルの風」は起きないと主張しました。ローレンツ収縮は、相対性理論から必然的に導かれます。

結局、現時点での光に対する理解は、光は電磁場を伝わる波、即ち電磁波であり、それでいて粒子としての側面も併せ持つ、というものです。また、偏光という現象から光波は横波です。

なお、光の
波長と色との関係については右図のような関係があり、人間は、光の波長を色によって認識しています。波長の光を、人間の目が感じることができるので可視光線と言います。可視光線よりも短い波長の光を紫外線、可視光線よりも長い波長の光を赤外線と言います。波長λの光の振動数は、波の公式により、となります。
様々な色の光、つまり、様々な
波長の光を混合すると、光の色は白く見えます。こうした光を白色光と言います。太陽からやってくる光は白色光です。それに対して、1つの波長だけになっていてその波長の色がついて見える光を単色光と言います。原子から出てくる光は、特定の波長の単色光になっていることが多く、それが物質の色となって見えます。白色光が、屈折により幾つかの色に分かれる現象を分散と言います。虹やプリズムは光の分散による現象です。分散は、物質の屈折率が波長によって異なることによって起こります。
また、物質中では、光の
伝播速度は真空中よりも遅くなります。真空の誘電率、を,真空の透磁率をとすると、真空中の光速となります。物質の誘電率をε,物質の透磁率をμとすると、物質中の光速となります。このとき、を物質の(絶対)屈折率と言います。なので、です。
。真空中で波長
λの光は、屈折率nの物質中で波長になります。光の振動数は物質中でも変化しません。絶対屈折率は、密度の高い物質で大きくなる傾向があります。光の屈折で、どちらに向けて光の進路が曲がるかを判断するとき、密度の小さい物質から密度の大きな物質に光が入る(空気からガラスへ、など)とき、光速が大きい方から小さい方に入るため、境界面から遠ざかる方向に進路が曲がる、と、覚えておくと良いでしょう。



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