東工大数学'23年前期[4]
xyz空間において、x軸を軸とする半径2の円柱から、かつで表される角柱の内部を取り除いたものをAとする。また、Aをx軸のまわりに回転してからz軸のまわりに回転したものをBとする。AとBの共通部分の体積を求めよ。
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解答 こうした立体の体積を求める問題では、どうしても、どんな立体になるのだろう、と、立体の概形を考えたくなるものです。ですが、立体の概形をつかむことに時間をかけても、なかなか思うようにつかめません。
本問の基本問題として、円柱の内部を取り除くことなく、x軸を軸とする半径2の円柱と、y軸を軸とする半径2の円柱の共通部分を求める、という問題があります。立体の概形を把握することは困難ですが、z軸に垂直な平面 ()で切った断面を考えることはできます。円柱を平面で切ると、断面は長方形です。2つの円柱の共通部分を平面で切ると、共通部分の断面は2つの同じ幅の長方形の共通部分となり、断面は正方形になります。あとは正方形の面積を積分すれば、立体の体積を計算することができます。
東大理系数学05年[6]では、x軸を軸とする半径rの円柱と、z軸を軸とする半径rの円柱の共通部分にさらにy軸を軸とする半径rの円柱がからむ、という設定になっています。とても立体の概形を想像もできませんが、やはり断面を考察することにより、解答できます。
本問も立体の概形は、2つの角柱が交わっている立体の概形、そして、この取り除かれる部分を考慮してAとBが交わっている状況を考えると、右図のようになります(AとBの共通部分の図ではないので注意)。ですが、この図を見ても、どのようになっているのかよくわかりません。また、どういう計算をすれば体積が求められるのか、ということにもつながりません。立体の概形を考えることに意味はないのです。
というわけで、本問でも断面を考察することになります。2円柱の共通部分の体積を求める問題と同様に、z軸に垂直な平面で切った断面を考えることにします。立体が存在する部分に属する点がどのような不等式を満たすのかを考え、不等式でとして、が満たす不等式を調べれば、断面の状況をつかむことができます。
まずAに属する点が満たす不等式を考えます(不等式の表す領域を参照)。
x軸を軸とする半径2の円柱内の点は、x座標にかかわらず、
・・・@ を満たします。
かつ ・・・A で表される角柱の内部を取り除いたものがAなので、Aに属する点は、Aの否定をとって、
または ・・・B を満たすことになります。@と合わせて、Aに属する点が満たす不等式は、@かつBということになります。
Aをx軸のまわりに回転すると、@は変わりなく、yz平面上で不等式Bの境界線,がどうなるかを考えると、直線は、直線に移り、直線は、直線に移り、直線は、直線に移り、直線は、直線に移ります。この結果Bが表す領域は、
または ・・・C に移り、領域Aをx軸のまわりに回転すると、@かつCが表す領域に移ります。
さらに、z軸のまわりに回転(複素数平面上の回転を参照)するとき、xy平面上で点がに移るとして、
より、,
これを@に代入すると、,として、
・・・D また、Cに代入すると、,,として、
または ・・・E これより、Bに属する点が満たす不等式は、DかつEということになります。
以上より、AとBの共通部分にある点が満たす不等式は、「@かつB」かつ「DかつE」、つまり、
AとBの共通部分を平面で切った断面を考えます。Fにおいて、として、
,より、であって、です。AとBの共通部分は、の部分との部分とで同じ形になるので、AとBの共通部分の体積は、の部分の体積を2倍して求めます。
としてGを整理して調べると、以下のようになります。
より、 ・・・H
「または」より、であればyは任意で、であればまたは ・・・I
より、 ・・・J
「または」より、
またはまたはまたは ・・・K
つまり、
またはまたはまたは
ここで、であれば、は明らかですが、との大小関係が問題になります。差をとると、 よってKは、右図のように、 のとき、となり、xは任意。
また、におけるJのとLのとの大小関係を調べておくと、
の解は,なので、上式右辺の分子は正で、
におけるHのとIの1との大小関係は、
より、
以上より、t について場合分けすると、Gすなわち、HかつIかつJかつLは、
よって、平面上での存在範囲は、右図の薄黄色着色部。 よって、平面上での存在範囲は、右図の薄緑色着色部。 ・のとき、,かつ、「または」,かつ,かつ、「または」 よって、平面上での存在範囲は、右図の薄水色着色部。
よって、AとBの共有部分を平面 ()で切ったときの断面積は、
のとき、
のとき、
のとき、
求める体積は(被積分関数が同じところは積分区間をつなげて計算します。定積分を参照)、
は、とおくと(置換積分を参照)、,,,t:のとき、u:より、
は、右図黄色着色部のように、半径2の円のと、底辺高さの三角形の面積の和で(置換積分(その2)を参照)、
は、右図黄色着色部のように、半径2の円のと、底辺1高さの三角形の面積の和で、
よって、
......[答]
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